データ
お客が食べる時間は20分から25分。滞在する時間は40分強。
これは回転寿司店で、10年間変化のない数値だそうです。
食べる量やスピードを数値化して、寿司レーンの適切な動きを把握します。
入店するお客の数と、レーンに流れている食材の数を把握して、作る指示や作らない指示を、色信号で示します。
同業他社ではなかなかマネのできないシステムです。
このシステムを開発した当時のメニューは35でしたが、現在はサイドメニューを入れて、130ほどあります。
ファミリーレストランにはシステムがないので、今のアイテム数が限度だろうと、くらコーポレーションの社長の強気の発言もあります。
なお、寿司皿にかぶせるフタを「鮮度くん」といいます。ネタにフタのない状態でグルグル回っているのはちょっと気になりますよね。フタがあるのでとても安心です。
これは5年前にはじめたそうです。
くら寿司で牛丼
2016年10月、大阪貝塚市の新工場に天然魚を扱う小売店を併設した店舗を開業しました。
ここで、サイドメニューとして牛丼をはじめたのです。
くらコーポレーションは寿司店のワクを破る企業作りに挑みます。
牛丼は味を出すのが難しいらしいのです。くらが出す以上は、既存店の牛丼に負けないものを提供したい、大手チェーンの肉汁のような牛丼は出したくないと、くら社長は、ここでも強気の発言を繰り返します。
くらのコンセプトは、日本食を大事にしていた戦前回帰です。
その考えに共感してスタッフも集まってきています。
くらの社長は酒もたばこも、ゴルフもやりません。ゴルフ場をつくると山を、はげ山にしてしまうからだそうです。
しかし、社員にはその考えは強制しません。
コンビニエンスストアの力が強まっていますが、米が店頭に並ぶのは、3~4時間経ってからです。回転寿司は現場で米を炊きますので、旨さが違うのだとも。
くらコーポレーションに入社するなら、カブトムシを追え!
くらコーポレーションでは、想像力を駆使して文化を創るソフト力が必要だそうです。従って、子供の頃にカブトムシを追わない男は必要ない、ということです。
日本ではかつて、漁獲量が1,000万トンありましたが、現在は半分の500万トンに減っています。
養殖だけでは限界があり、天然魚の存在価値をもっと高めたいと考えています。
そこで、くらコーポレーションは、一匹たりとも無駄にせずに販売するため、魚の骨と肉を分離する、一台数千万円もする機械を工場に導入しました。
天然魚の市場はここ1ヶ月が勝負。今注目されなければ半年経っても注目されることはないと、いっています。
サービス業はお客に喜んでもらうことが一番。それを差し置いて、資金繰りや資本政策に走るようでは良いサービスができるわけがない、と社長。
海外では台湾に5店、アメリカに11店。店によっては一日中行列ができるそうです。アメリカは2年連続で黒字です。
業績好調
2015年10月期の連結売上高が1,053億円。2014年10月期比9パーセント増えました。
サイドメニューが売上高に占める割合は、10年で、15~25パーセントに伸びています。
そして、2016年10月期の既存店売上高は、前期比1.6パーセント増し。
牛丼の商品化で、ラーメン、カレーと外食人気メニューを網羅しましたが、他社もコラボ商品を出して負けてはいません。
今後は外国料理や中華、天然魚の活用を含めた商品開発が課題となります。
2010年から売上高、営業利益共に年々伸びています。