熊本地震の右横ずれ断層
益城町(ましきまち)は、本震により、直線上の亀裂が地表に現れました。
地表地震断層です。
およそ2メートル、水平に右方向にずれています。
産業技術総合研究所は、この地表地震断層は、右横ずれ断層と報告しました。
また、国土地理院は、断層がおよそ27キロメートル動いたと報告しています。
およそ10キロメートルの右横ずれ断層がありました。
国土地理院のは調査でGPSを用い、南西に、97センチ移動したと報告しています。
阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)でも右横ずれ断層が生じています。
地震動が伝わりやすい右横ずれ断層は、被害が大きくなります。
阪神・淡路大震災は、震源地である淡路島より、神戸などが大きな被害を被りました。
神戸は、淡路島より、右横ずれ方向になるからです。
地震発生率が高い別府万年山断層帯
※ウィキペディアから引用
布田川断層帯(ふたがわ)は、0.9パーセントと地震発生率が、とても高い確率となっています。布田川断層帯(ふたがわ)は、西の宇土(うと)まであり、阿蘇から長さおよそ64キロメートルあります。
八代まで長さ80キローメートル以上ある日奈久断層帯(ひなぐ)は、北部の16キロメートルが地震で動きました。
南部は動いていいません。
したがって、地震が起こる可能性が高いということになります。
別府から大分県西部に、東西方向に分布する断層帯が、別府万年山断層帯です。
これは、中央構造線に続く断層であり、のち30年間の地震発生率が、4パーセントと、とても高い確率の断層です。
九州には、熊本から大分にわたり、溝状の地溝帯(ちこうたい)があります。
これを別府-島原地溝帯といいます。
別府-島原地溝帯では、南北に九州が引っ張られる力が働いています。
右横ずれが生じているのは、これによります。
地下構造が不均質(むらがある)であり、上記断層帯など断層が多数分布し、地震や火山が多いところです。
熊本地方、大分県、阿蘇地方で別々の地震が発生しました。
気象庁では、マグニチュード7.3だった熊本地震がきっかけで、歪みがたまり、地震が誘発されたとの見方を示しています。
しかし、このような事例はあまりありません。
ということは、今後、別府-島原値溝帯全域に、活動域が広がることが心配されます。
熊本地震 余震から本震へ
熊本地震は、余震の回数が、1500回以上と、非常に多いのが特徴です。
そのうち、震度5弱が7回、震度5強が4回、震度6弱が3回、震度7と震度6強が2回と、多くの強い余震が発生しました。
宇土の市役所は、震度6強の揺れで、著しく損傷しました。
本震のあとは、周囲で余震が発生しますが、本震と比べて、マグニチュード1程度は、小さくなるのが通常です。
余震が活性化するのは、内陸の浅い震源の地震です。
熊本地震は、阪神・淡路大震災や新潟中越地震の余震回数を超えています。
熊本地震は、阿蘇地方を中心に土砂崩れが多発しました。
その土砂に、家屋が呑み込まれて、被害を受けるケースも目立っています。
脆い地盤
阿蘇地方の地盤は、阿蘇山の火山噴出物であり、とてももろく、土砂災害となりやすい地盤です。
土砂崩れが発生した辺りは、溶結凝灰岩(ようけつ‐ぎょうかいがん)の固い岩盤上に、火山灰や多孔質の黒色の軽石が、堆積(たいせき)しています。
これをスコリア(scoria)といいます。
水を通しやすいスコリアですが、その下には、水を通しにくい溶結凝灰岩の岩盤があります。
雨水が溜まると、簡単に表層が崩壊してしまいます。
また、水と反応する火山灰は、粘土化し、とてもすべりやすくなります。
これが、崩壊した火山灰を含む土砂は、水と混ざって土石流となり、家屋を襲うのです。
2016年4月17日、雨が降り、地すべりが9箇所、土石流が14箇所、発生しました。
2013年、伊豆大島では、豪雨により、溶岩上のスコリアが崩壊して、土石流が発生しました。
これにより、多大な犠牲者を出しました。
国土交通省と熊本県は、震度5強地域の、およそ3000箇所を点検し、地表の崩壊や亀裂などを確認した92箇所が、国の基準で「応急的な対策が必要」とする、危険度Aにあたると認定しました。
危険度はAからDまであります。
Dはかなり低い、Cは低い、Bは高い、Aはかなり高いとなります。
阪神・淡路大震災では、およそ750箇所で崖崩れが発生し、その後の雨で1500箇所となり、大きく増えたのです。
地震で出来たきれつなどがあり、わずかな雨でも崩壊するのです。