南海トラフ地震のような大規模な地震のあとは、同時多発火災が発生
火災が発生したときは、3分以内の消火が、延焼を防ぎます。
火災のときは、以下の行動を実行しましょう。
1. 火災を知らせる
- 大声で叫び、隣近所に、火事を知らせます
- 非常ベルや火災警報器を鳴らします
- やかんなど金物をガンガン叩きます
大震災のあとは、あちこちで火災が発生し、119番通報が殺到します。
そのため、直ちに消防車が、かけつけることは期待できません。
あなたの街の、大規模な火災を防ぐために、小さいうちに、隣近所で助け合って、消火することが大切です。
2. 初期消火に努める
- 消火器や水を使って、消火します
- 隣近所で協力して消火にあたってください
- 逃げ道を確保し、避難口を背に消火します
3. 避難する
- 天井に炎が達したら、消火はあきらめて、すぐに避難してください
- 煙が充満する前に、避難します
- 燃えている部屋のドアを閉めて避難します
初期消火の限界は、出火後3分といわれています。
消火がうまくできずに、炎が天井に達するほど大きくなったときは、消火をあきらめて、迷わずに避難しなければなりません。
煙が立ちこめた場合や、煙の色が白色から黄色に変化した場合は、生死に関わりますので、直ちに避難します。
火元別の消火のポイントは?
- 火は小さいうちに消火する
- 隣近所の消火に協力する
- 炎が天井に達したら、直ちに避難する
ストーブの消火
消火器類や、バケツの水などを使って消火します。
消火器がなければ、濡らした毛布やシーツなどをかぶせます。
ただし、電気ストーブの場合は、感電の危険がありますので、水は使用できません。コンセントを抜いてください。
カーテンやふすまの消火
カーテンやふすま、障子(しょうじ)は急速に燃え広がります。
出火し始めたなら、無理矢理引きはがして、または、蹴り倒して、消火器類を使って消火します。
コンロの消火
消火器類を使って消火します。
ただし、天ぷら油による火災は、ハロンタイプ(不燃性のハロゲン化物)のスプレー式の消火器は、有効ではありません。
また、水をかけると、水蒸気爆発を起こす危険がありますので、絶対に水をかけてはいけません。
衣服に火が付いたら
慌てて走り回ると、火が大きくなります。水をかけたり、水に飛び込んで消火します。
水がない場合は、地面を転げ回って消します。
服に燃え移っている人がいたら、地面に押し倒し、水や布をかぶせて消火します。
火災からの脱出方法
火元で最も怖いのは、有毒な煙です。防煙マスクや防煙フードの着用は必須です。
火災による主な死亡原因は、やけどではなく、煙です。
煙には、無味無臭の一酸化炭素などの、有害物質が含まれていて、気づかないうちに吸い込み、体が麻痺して動けなくなったり、中毒死する恐れがあります。
煙は驚異的なスピードで広がり、白色から黄色、または、黒色になるに従い、有毒ガスの濃度が濃くなり、視界も悪くなります。
特に、高層階から避難するときは、煙や有毒ガスを遮断する、防煙マスクや防煙フードの着用は必須です。
アパートやマンショにお住まいの人は、絶対に備えておいてください。
火災が発生したときに、避難のキホンは
口や鼻をおおい、低い姿勢で避難しましょう。
煙は空気よりも軽くて、上昇する性質から、天井側より、床側の方が、煙は薄くなります。
防煙マスクや防煙フードなどが、手元にない場合、姿勢を低くして、マスクの内側に、ウェットティッシュを入れたり、濡らしたマスクやハンカチを口に当てて、煙を吸わないようにして脱出しましょう。
- 煙が白色のときは、短い距離であれば、息を止めて一気に走り抜けます
- 煙が黄色のときは、有毒ガスを吸い込まないために、防煙マスクや防煙フードを着用して、姿勢を低くして移動します
- 煙が黒色のときは、壁づたいに、床を這うように逃げます。床の角や階段の段差に残っている、新鮮な空気を吸います
火災時、場所別の避難ポイント
火災時に、出口が近いとき
出口や非常口が近ければ、息を止めて、躊躇せずに炎の中を、一気に走り抜けます。
このとき、頭から水をかぶり、濡れたシーツなどで、体を覆うことができればベストです。
脱出後に、衣類に火が付いてしまったら、地面を転げ回って消火しましょう。
火災時、階段から煙がのぼってきたとき
階上にいるときの避難は、すみやかに階下、屋外へと脱出するのが鉄則です。
しかし、階段から火と煙が、激しく立ち上ってくる場合は、階段は使えません。
この場合、ベランダから、はしごを使って脱出します。
火災時に、地下街やデパートにいるとき
集団パニックに巻き込まれないように、落ち着いて、非常口から地上、建物の外へと避難します。
煙がひどいときは、ハンカチなどで口と鼻をおおい、壁と床のコーナーあたりに、姿勢を低くして、顔をくっつけながら進みます。
煙で前が見えなくても、壁づたいに進めば、出口にたどり着きます。
群衆に巻き込まれないようにしましょう。
ガス漏れの可能性あるときは
ガス漏れの可能性あるときは、懐中電灯や、電気スイッチはダメです。
大地震でガス管が壊れると、ガス漏れが起こります。
漏れたガスに引火すると、爆発の恐れがあるため、タバコやろうそくに、火を付けるのはやめましょう。
少しでも、ガスのにおいを感じるときは、懐中電灯や部屋のスイッチに、触れてはいけません。
関東大震災では、当時の東京の全面積の44パーセント弱が消失
関東大震災は、大正12年(1923年)9月1日、午前11時58分の昼時に発生しました。
当時の東京市の全面積である、79キロ平方メートル強の、44パーセント弱の35キロ平方メートル弱が消失しました。
浅草や日本橋などの、下町地域のほとんどが、焼け野原になりました。
東京市の東京震災録によりますと、出火した134ヶ所のうち、直後に消し止められた火災が57ヶ所で、消し残った77ヶ所から、延焼火災になったとされています。
当時の建物は、燃えやすい木造住宅であったこともありますが、地震発生直後に、消火しきれなかったことが、被害の拡大につながったといえるでしょう。
阪神淡路大震災の数時間後、無人の家から火災発生
平成7年(1995年)に発生した、阪神淡路大震災では、282件の火災が発生しました。
そのうち、地震直後の出火は、87件で、数時間から数日経過したあとの、通電火災が相当数あり、注目を集めました。
地震による停電のあと、数時間、あるいは、数日経って、再び電気が通じたときに、転倒した電気ストーブや、観賞魚用ヒーターなどの、熱を出す家電製品が、加熱や発火の原因となり、通電火災が多発しました。
通電火災はこうして守ろう
- 避難の前に、ブレーカを落とします
- 電気復旧後は、家電のコンセントを抜いてから、ブレーカをいれます