南海トラフ地震の影響による、からだの健康と暮らしの衛生を保つ
トイレの衛生を保つ
過去の大震災では、避難所のトイレや、公衆トイレなどが、断水により、排泄物が流せず、不衛生な状態になりました。
特に、女性や高齢者が、トイレを我慢して、体調を崩す例が見られました。
トイレを我慢すると、膀胱炎(ぼうこうえん)などの、尿路の感染症を起こしやすくなります。
トイレに行くのがイヤで、水分を控えると、脱水症状や、エコノミークラス症候群などに、かかりやすくなるため、注意が必要です。
断水時のトイレの使い方
- ポリ袋の中に、新聞紙などを、折ってつくった袋を、セットします。
- それを広げて、便座にかぶせて、ポリ袋の中に、用を足します。
- ポリ袋の口を、しっかり閉じて、捨ててください。
食べ物に気をつける
梅雨時期から、夏場にかけては、食中毒が起こりやすくなります。
また、寒い時期でも、ノロウィルスなどの、感染症胃腸炎が起こることがあります。
季節にかかわらず、調理前や、食事前の手洗いと、食品の衛生管理を徹底しましょう。
食器を洗えないときは、お皿にラップをかけて使います。
手が洗えないときは、消毒・除菌用ジェルで、手を清潔に保ってください。
食べ物の衛生のポイント
- 加熱が必要な食品は、中心部までしっかり加熱します。
- 停電時は、クーラーボックスを利用するなど、食品は冷暗所で保管します。
- 提供された食事は、早めに食べて、消費期間が過ぎたら捨てます。
食中毒が疑われるときの対処
症状
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱など。
回復方法
- 食後、あまり時間が経過していなければ、横向きに寝かせて、指などで、舌の付け根を刺激して吐かせます。子どもの場合は、無理に吐かせるのはやめましょう。
- 毛布などで保湿して、安静にして、医師の診察を受けてください。
- 食後から時間が経っている場合や、脱水症状、ショック症状が見られる場合は、ただちに、医師の診察を受けてください。
飲み水に気をつける
飲み水から、食中毒や感染症が広がることもあります。
断水時の飲み水は、できるだけ、ペットボトル入りの、ミネラルウォーターや、備蓄水、沸騰した湯を、冷ました水を用いるようにし、生水の飲用は避けてください。
飲み水の衛生のポイント
- 給水車からの、汲み置きの水は、当日給水した水を使用します。
- 時間が経った汲み置きの水や、井戸水、湧き水は沸騰して殺菌します。
- 沸騰時間は5分ほど。
からだを清潔にする
水が不足していて、入浴できない場合や、替えの下着が手に入らないときでも、感染症や湿疹、膣炎などの病気を予防するために、からだを清潔に保つことが大切です。
ぬれタオルや、ウェットティッシュなどで、からだを拭きます。
からだを清潔にするポイント
- 汗の溜まりやすい脇や首、汚れやすい陰部などは、特に丁寧に拭きます。
- 下着を替えられないときは、下着に使用できる、抗菌・消臭スプレーを使用します。
- 頭皮をドライシャンプーなどで、清潔にしてください。
歯と口を清潔にする
水の不足により、口腔ケアが不十分になると、むし歯や、歯周病が進行しやすくなります。
特に高齢者では、誤嚥性肺炎などの、呼吸器感染症を引き起こすこともあります。
ティッシュや清潔な布を指に巻いて、歯をぬぐいます。
歯ブラシがあれば、使用し、歯ブラシの汚れは、ティッシュなどでふき取ります。
口腔ケアのポイント
- 食後に少量の飲み水か、お茶でしっかりと、うがいをします。
- キシリトール配合の、シュガーレスガムをかんで、唾液の分泌を促します。
誤嚥性肺炎が疑われるときは?
誤嚥性肺炎とは、口腔内の細菌や、逆流した胃液が、誤って気管に入ることで、起こる肺炎のことです。
特に、高齢者に多く見られます。
主な症状は、発熱、せき、たん、呼吸困難、胸痛などです。
高齢者の場合、これらの訴えが、はっきりしないこともあります。
上記の症状はもちろん、脱水症状や食欲不振、何となく元気がないなどの、症状が見られる場合は、誤嚥性肺炎を疑い、医師の診察を受けましょう。
粉じんやホコリから身を守る
建物のがれきや、乾燥した土砂から舞う、粉じんやほこりには、肺炎などを引き起こす、化学物質や、発がん性物質である、アスベスト(石綿)、破傷風菌などが、混入している危険があります。
粉じんマスクで、鼻と口をしっかり覆います。
粉じんゴーグルで目を保護してください。
もちろん、傷口はしっかり保護します。
破傷風が疑われるときは?
大地震や大津波のあとは、土の中の破傷風菌が、がれきの粉じんに、混ざっていることがあります。
傷口から菌が侵入しますと、破傷風に感染することがあります。
感染すると、感染から3日から3週間後に、全身のこわばりや、筋肉のけいれんが起こり、重傷の場合は、死に至ることもあります。
傷口に土がついたり、がれきや釘などで、ケガをした場合には、傷口をよく荒い、医師の診察を受けましょう。