南海トラフ地震の影響による、こころの健康
災害時は誰でもこころの変化がおこります
わたしたちの身に降りかかる、大規模な自然災害は、大きなストレスの要因となります。
南海トラフ地震のような大災害が発生した場合、その直後は、極度の不安や動揺、心身症状などが現れますが、これらの多くは、災害時に誰にでも起こりうる正常な反応です。
とりわけ、非常事態を経験した被災者のこころは、大きな変化をともなっていても、自然なことなのです。
災害時に、あなたの家族、周りの人の、いつもと違う行動や、言動に気づいたときは、そのことを否定せずに、災害時のこころの変化と受け止めましょう。
通常は自然に回復していきます
人間はどんなにつらく、悲しい体験をしても、自然に回復する力が備わっています。
不安や心配が、永遠に続くということはなく、多くの場合は、徐々に回復していきます。
災害時のこころの変化は、被災状況や個人の性格、周囲の環境などによって異なりますが、一般的に、どのような反応が起こるかを、知っておくことが、こころの問題を軽減するために役立ちます。
災害時に起こりうる心身の反応 こころ・思考の変化
- 眠れなくなったり、途中で目が覚める。
- 災害に関した悪夢を見る。
- 強い恐怖や不安におそれる。
- 神経が過敏になり、物音などでビクッとする。
- イライラして、怒りっぽくなる。
- 孤立感を感じて、誰とも話す気になれない。
- 気分が落ち込んだり、自分を責める。
- 意欲や集中力が低下し、無気力になる。
- 混乱して、何をすればいいかのか分からない。
災害時に起こりうる心身の反応 からだの変化
- 食欲が落ちる。
- 食べ過ぎる。
- 頭痛、めまい、吐き気、下痢、胃痛、動悸、震えなどの不調がある。
- 疲れやすく、だるい。
- 持病の悪化。
災害時、心身ストレスが続く場合は専門家に相談を
大規模災害による、心的ストレスは、想像以上に甚大で、その影響が強く出たり、反応が長引くこともあります。
また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる病気になる可能性もありますので、あなたや周りの人の、心身の不調が大きい場合は、カウンセラーや医師などの、専門家に相談することが、早期回復につながります。
以下の施設などで、気軽に相談しましょう。
- 巡回の医師やカウンセラー
- 医療機関
- 保健所・保健センター
- 児童相談所
- 医療関連の電話相談など
災害時、こころの安心のために気をつけること
災害時でも、できるだけ規則正しい生活を心がけ、家族や友人、周りの人とのコミュニケーションをとることが、こころの安心につながります。
十分な睡眠、休憩をとる
まずは、自分自身の健康を保つことが大切です。これが、最優先です。
災害時は、不眠や、寝ていても頻繁に目が覚めるなど、多くの人に、睡眠障がいがおこります。
眠れないときでも、横になって、からだを休めることが大切です。
疲れを感じたときは、がんばりすぎず、休憩しましょう。
日常生活のリズムを取り戻す
毎日、なるべく同じ時間に起きるようにし、太陽の光を浴びます。
食事は、1日2食でも3食でもかまわないので、同じ時間に食べるようにしましょう。
日中に運動すると、心身によい影響を与えます。
信頼できる人に気持ちや思いを話す
不安や悩みを抱え込まず、家族や友人など、気持ちを受け止めてくれる、身近な人に話してみましょう。
もちろん、相手の話にも耳を傾けるようにします。
同じ体験をした人同士が、気持ちを共有することで、ストレスが解消されます。
声をかけ合い、人からの助けを受ける
あなたひとりで、すべてを背負ってしまうと、ストレスや疲れが慢性化して、結果的に食欲をなくしてしまいがちです。
遠慮をせずに、周りからのサポートを受けることが大切です。
また、ひとりでがんばっている人がいたら、声をかけて、助け合いましょう。
災害時に、子どもが不安を感じているとき
子どもは、感情を言葉でうまく表現することができずに、不安や悲しみは、行動や体調の変化として、現れることが多くなります。
災害時は、子どもの変化に気を配るとともに、子どもが、安心感を得られるように心がけましょう。
子どもにみられるストレス反応
- 赤ちゃん返りがみられる。
- 寝付きが悪くなったり、いやな夢を見る。
- 表情が乏しくなる。
- ひとりになるのを怖がる。
- 体験したことを繰り返して話す。
- 遊びや勉強に集中できない。
- 年齢不相応に大人びた態度をとる。
- 反抗期・非協力的になる。
- 病気でもないのに、からだの不調を訴える。
- 頭痛や吐き気をもよおす。
- アレルギー反応が出たり、カゼをひきやすくなる。
子どものこころのケア
- 家族が一緒にいる時間を増やし、ひとりにしない。
- 会話を多くし、子どもが話すことをしっかり聞く。
- 手を握る、抱きしめるなどのスキンシップを増やす。
- 行動に変化が見られても、むやみに叱ったりせずに、受け止める。