地震がきたら、本当にトイレの中は安全なのか?
地震のときは、トイレの中が安全ということは、聞いたこと、ありますよね。
理由は、トレイのような狭い場所には、柱が四方に、たくさん立っているので、天井や屋根が、崩れてくる可能性が、低いといった考えからです。
トイレは、畳一枚程度の空間の四隅には、おそらく柱があり、その上には、梁(はり)もかかっているでしょう。
崩れにくい場所であることは、間違いではないかもしれません。
地震で倒壊して、真っ平らになっている家もあり、2階や屋根が傾いている家もあります。
家にも頑丈な部分もあり、均一に倒れないのであれば、柱の多いトイレや水回りが、潰れない可能性も高いかもしれません。
しかし、潰れてしまえば、もし、1階のトイレにいたら、確実に柱に、はさまれてしまいます。
倒壊した家から、奇跡的に助け出された人の話では、たまたま、隙間に助けられた、という話がほとんどです。
これらを踏まえますと、トイレが、決して安全な場所とは思えないのです。
同じような話で、竜巻のときも、トイレに逃げ込むのがよいと言われています。
実際に、トレイに逃げ込んで、助かったといった、記事もあります。
竜巻の多い、アメリカでは、トイレ以上に、被害にあわない確率が高いのは、バスタブのなかだと言われています。
バスタブは、フタ以外では、固く閉ざされた形になっています。
この中に身を入れてしまえば、最も強固な、シェルターになると考えられます。
日本のバスタブは、西洋式のシャワールームのバスタブと違い、湯を溜めるために、浴槽が深くなっていますので、よりシェルターに適しています。
地震で、万が一、倒壊したときは、柱に挟まる可能性のあるトイレよりも、浴槽の中の方が、命を救う隙間が、出来やすいかもしれません。
しかし、日本の暮らしの中での、地震対策は、浴槽の中に逃げ込む、といった話は聞いたことがありませんね。
地震の備えとして、浴槽には、常に水を貯めておくこと、と言われています。
地震が発生したとき、火災したときの消火作業や、断水などの緊急時の水として、使用できるからです。
被災後のトイレの使用は、大きな悩みの一つです。
浴槽に水を貯めておけば、少なくとも、家族分のトイレの排水用に、使用することができます。
日本人の入浴習慣を考えても、浴槽に水を貯めておくことは、防災対策にもなります。
浴槽に常に水を貯めておく場合、浴槽の中は、避難場所として、使うことはできません。
地震の備えとして、浴槽に水は貯めない?
実は、浴槽に溜めてある水が、地震以外での、家庭内の事故を、引き起こす可能性があるのです。
というのは、水難事故の多くが、家庭内で起こっているのです。
地震対策として、浴槽に水を貯めておきたいのですが、地震だけのことを考えると、それでよいのかもしれません。
が、物事は、そんなに単純ではありません。
交通事故の死者数が、3,532人(2018年)です。
日常的な家庭内で、事故で亡くなる人は、交通事故の死者数の倍以上なのです。
しかも、その半数は溺死です。
阪神淡路大震災での、関連死を含む犠牲者の2倍の数が、毎年のように、家庭内で死亡する事実が、繰り返されています。
中でも深刻なのが、溺死です。
気候が暖かくなれば、日本各地で、海や川、プールなどで、溺れた人のニュースが流れます。
報道はあまりされませんが、あまりというより、全くされませんが、実は溺死事故の7割は、家庭内で起こっているのです。
犠牲となっている多くの人が、高齢者と幼児です。
高齢者の場合は、風呂場の中ですべって転ぶなど、幼児は、いたずらで、浴槽をのぞき込んで転落したあとに、家庭内の水難事故になっています。
水の事故は、ほんの数分で、生死を分けます。
死亡事故になるか、助かった場合、家庭内の体験で終わります。
ですので、死亡事故数はわかっても、現実に発生している事故の数は、誰も把握できていません。
家庭内での水難事故の死者数が、毎年3,000人を超えている以上、地震の備えとして、日常的に、浴槽に水を貯めておくことが、正しいとは言い切れなくなってきます。
高齢者や小さな子どもがいない場合は、浴槽に水を貯めておいても、よいのかもしれませんが、浴槽は常に空にして、いざという時に、シェルターとして利用する手も、あるのではないでしょうか。
いかがでしょう?