家の構造はどのように計算されているのか
構造材としての木が強くても、建物としての強度は、まったく別の問題です。
地震で倒れない家なのか、それとも、地震で倒れてしまうくらい、弱い家なのか、構造的に判断する必要があります。
このような住宅の構造は、どんな計算で設計されているのでしょう?
答えは、知らなければよかった、と思う人がでるくらい、ショッキングです。
じつは、2階建て以下の木造住宅では、ほとんど、構造計算されていません。
それは、四号建築といい、建築基準法第6条1項四号に該当する、木造住宅は、構造計算が義務付けられていないのです。
■ 四号建築の条件
- 木造で2階建て以下
- 延べ床面積500㎡以下
- 高さ13㍍以下
- 軒の高さ9㍍以下
しかも、上記のような条件が、そろっていれば、構造に関わる検討書や、図面の提出も求められず、チェックもしないのが現状です。
住宅建設にあたっては、基本的には、確認申請を必要としますが、構造計算がなくても、確認申請は通ります。
これから家を建てるのであれば、四号建築かどうかを、確認してみましょう。
さらに、長期優良住宅では、耐震等級2以上が求められます。
きちんと構造計算したうえで、耐震等級が決まると思ってしまいがちですが、じつは、構造計算が行われているとは限りません。
施行令にある、技術基準の仕様規定に適合してさえいれば、長期優良住宅の耐震等級が得られます。
施工令(しこうれい)とは、法律に付属し、その施行に必要な細則や、その委任に基づく事項などを定める政令。「地方自治法施行令」(コトバンクより抜粋)
この仕様規定は、簡易法であり、構造計算ではありません。
簡易法の建物を、構造計算してみると、2~4割程度も、強度不足になることもあるといいます。
熊本地震で倒壊した新築住宅は、おそらく、四号建築や、簡易法で建てられたのだと、考えられます。
地震に強い家は、壁の強さと量で決まります
正しい構造計算も、建築基準法で定められています。
その中でも、一般的に行われているのは、許容応力度計算です。
使用される材料の、強度の許容値を、構造上計算される応力が、超えていなければ、壊れないことが、証明できるというものです。
ただ、この許容応力度計算でも、先の簡易法の計算でも、基本的な考え方は壁量計算です。
壁量計算は、比較的、単純な考え方です。
家は柱がなければ建てられません。
しかし、柱だけでは、横からの力がかかれば、倒れてしまうでしょう。
倒れないようにするには、柱と柱の間に、筋交い(すじかい)という、斜めに当てた材を、打ち付けて固定します。
もしくは、大きな面材(めんざい)を張れば、倒れなくなります。
面材(めんざい)とは、主に板材の総称。 建築で使用する、床や壁、天井といった面の部分を作る際に用いられる。 ベニヤ板や合板など、その種類や用途は様々。 角材や、軸材といった柱などは、その対照物となる。(コトバンクより抜粋)
どちらにしても、その柱間には、開口はできませんので、壁になります。
このとき、筋交い(すじかい)の太さや、面材の種類や、止め方によって、壁の強さが決まります。
こうした壁を、耐力壁(たいりょくかべ)といいます。
耐力壁(たいりょくへき/たいりょくかべ)とは、建築物において、地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力をもつ壁のことを示す。 そうではない壁(構造的に固定されていない壁)は非耐力壁と呼ぶ。 また、木造建築物においては、耐力壁に似ているが、固定方法が不完全で抵抗力の低い壁(間仕切壁など)を準耐力壁と呼ぶ。(コトバンクより抜粋)
建物全体で必要とされる強さ以外に、耐力壁の量があれば、強度が確保されていると考えられます。
これが壁量計算の基本です。
ただし、耐力壁の配置のバランスが悪ければ、全体の耐力壁のバランスをとらなければなりません。
いずれにしても、家の強さが気になったなら、構造計算したい、と依頼しましょう。
そして、許容応力度計算を行っています、と回答があれば、安心できるはずです。
実際に、木造でも3階建てでは、許容応力度計算が義務となっています。
住宅は、何度も建てられるものではありません。
将来の資産価値を考えても、許容応力度計算をしておくことをお勧めいたします。