地震に強い家と弱い家 家をしなやかにする制震

耐震で家が強くなれば、それで大丈夫かといいますと、なかなか、そうはいきません。

繰り返し発生する地震に対して、やったおかなければならないこともあります。

制震の考え方は、むしろ古建築の中にあります。

家をしなやかにして、地震に対する方法を考えいきましょう。

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地震対策 地震の揺れによって、家の揺れも変わります

家の耐震化を進めるには、強い壁をたくさん配置することです。

壁の量が増えるほど、建物は固くなります。

固い建物ほど、固有周期は短くなります。

逆に、ビルは、高層になるほど、建物の固有周期は長くなります。

また、地震は波の一種として、伝わりますので、波長や周波数があり、波長の長い地震動と、短いものがあります。

その地震波の種類によって、伝達の速さや、届く距離にも関係があります。

P波というのは、縦揺れの短い波長で、早く伝わります。

S波は、横揺れの長い波長で、伝わるのは遅いですが、遠くまで届きます。

近年になって、地震の前に、スマホが鳴って知らせてくれるのも、この差を利用しているものです。

地盤の中を、早く伝わるP波で、地震波をキャッチして、大きく揺れるS波が、届くまでの時間に、警報として知らせてくれる仕組みです。

地震警報は、決して予知ではありません。

遠い震源地の地震では、警報が出せますが、活断層による地震等、直下型の地震では、P波とS波が、同時に発生しますので、警報は出せません。

このS波を、長周期地震動といいますが、さらに波長が長い、超長周期地震動もあります。

記憶にあるのは、2015年5月、小笠原諸島西方沖で発生した、深発地震(しんぱつじしん)です。

深発地震(しんぱつじしん、英: deep-focus earthquake)とは、地下深いところで発生する地震のことである。 深発地震は原則として、深く潜り込むリソスフェア(スラブ)内部の性質変化に起因するスラブ内地震である。(※ウィキペディアから引用)

震源地の深さは、680㎞もあり、地図に置き換えれば、東京から青森県までの、距離に相当する深さです。

このときの、超長周期地震動では、気象庁始まって以来、初めて、すべての都道府県で、震度1以上を観測しました。

韓国でも、揺れを観測するほど、超長周期地震動は、遠くに届きます。

この地域の周期と、建物の固有周期は、深い関係にあって、共振を起こすようになると、揺れが大きくなります。

地震対策 振動実験は自分でもできます

高層マンションは、固有周期が長く、長周期地震動で共振して、揺れやすくなります。

東日本大震災では、遠く離れた東京都や、大阪府の高層ビルが、ゆっくりと、大きく揺れました。

建物の中の家具が、大きく動いている映像もニュースになり、見た人も多いかと思います。

家具が横に動くのは、まさに、横揺れのS波の揺れです。

一方、住宅の固有周期は短く、長周期地震動よりも、周期が短い、地震動で被害を受けます。

地震被害にあった人のニュースでは、いきなり大きな縦揺れがきて、家が倒壊したという話しがあります。

周期の短い、P波の地震動で揺れているのです。

この震動の差を、家庭で簡単に実験して、感じてみることができます。

コップに水を半分ほど入れ、テーブルに置くだけで、すぐに実験できます。

最初にコップを、早く細かく、左右に揺すります。

当たり前ですが、コップの中の水は、波立ちます。

半分くらいの水であれば、コップからあふれることはないでしょう。

これが、短い周期の揺れです。

次に、ゆっくりと、大きくコップを揺すってみてください。

タイミングや、速度を、少しずつ変えてみると、コップの中の水が、塊になって、左右に揺れ出す瞬間があります。

続けると、揺れは大きくなり、水が飛び出してしまいます。

これが、長い周期の、ゆっくりとした揺れです。

高層マンションなどが、被害を受けやすいのは、このゆっくりとした長周期地震動です。

そして、一般住宅が被害を受けやすいのは、細かく揺すった、短周期震動です。

地震の被害対象というのは、横からの力だかではなく、震動による対策も必要としています。

その対策を、ブログで発信していきます。