地震に強い家と弱い家 耐震性の先にある制振(制震)

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地震対策 キラーパルスの破壊力とは

短周期震動の中でも、木造住宅が最も被害を受けやい、地震の周期を、キラーパルスといいます。

キラーパルスの周期は1~2秒です。

これに対し、一般的な木造住宅の固有周期は、0.1~05程度です。これだけを見ますと、ややずれている気がします。

固有周期とは、物体が自由振動するとき、揺れが一往復するのにかかる時間。固有振動数の逆数。その物体が最も揺れやすい周期で、物体の性質によって固有の値をとる。[補説]木造家屋の固有周期は1秒以下、超高層ビルでは2~6秒とされ、地震動の周期と一致すると、建物が共振し、揺れが大きくなる。(※コトバンクより引用)

建物の建て方や、形状の条件により、固有周期は変わります。

3階建てのように、階数が増えたり、間口の狭い、細長い家であっても、固有周期は長くなります。

また、何らかの地震動を建物が受けると、材料の取り合いや、釘などに緩みが発生することになります。

こうのような緩みによっても、少しずつ、建物の固有周期は、長くなってきます。

そして、キラーパルスと波長が合うようになれば、被害を受けやすくなります。

熊本地震のように、震度7の地震が、連続して発生するケースは、前震で緩みが生じ、固有周期が長くなった頃に、本震のキラーパルスが襲い、結果的に、被害を大きくすることに、つながっているものと思われます。

とにかく、建物を倒れにくくするために、壁を強くして、耐震で対抗するしかありません。

そして、重ねて地震が来ても、問題のないように、基準以上の耐震を確保しておくことです。

しかし、強くなれば、家は固くなりますが、家の中の家具が暴れるようになります。

こうした震動を抑える仕組みが、必要となります。

一方で、古建築が倒れないのは、しなやかに変形することで、地震の震動エネルギーを、上手に逃がす仕組みがあるからです。

これは、どちらも、制振(制震)という考え方で、解決できるのです。

地震対策 震動を制御して減衰させる

制振とは、震動を制御して、減衰させることです。

身近なもので、制振装置は、自動車に使用されている、ショックアブソーバや、ダンパーなどです。

もう少し詳しく説明しますと、たとえば、自動車の車体に、タイヤを直接つければ、道路の凹凸を、直に拾って、激しく震動します。

そこで、自動車にクッションとなるバネをつけます。

自動車では、コイルバネがほとんどですが、トラックなどでは、板バネもあります。

単純なバネですと、今度は、自動車が弾んでしまいます。

昔の自動車は、こんなバネが多かったのです。

そこで、バネが弾まないように、するために、取り付けられたのが、ショックアブソーバやダンパーなどです。

現代の自動車が、乗り心地がいいのは、この制振技術のおかげなのです。

こうした制振(制震)技術あれば、耐震性を高めて、バネのようになった、建物の震動を抑えることができます。

そう考えれば、強い建物にこそ、制振(制震)装置は有効です。

変形する柔らかい建物にも、地震動のエネルギーを吸収してくれる、制震装置が必要になります。

制震には、震動の減衰と、エネルギーの吸収の、2つの作用があるのです。

地震対策 制震は揺れを抑えて、安全性を確保します

耐震性を高めた建物は、固有周期が短くなり、建物がバネのように働き、上階の家具が暴れる可能性があります。

壁倍率の高い、耐力壁を使用するとか、耐力壁の量を増やして、耐震等級を高めれば、建物の耐震性は高まり、変形しにくい固い家になります。

また、筋交い(建造物を補強するために、柱と柱との間に斜めに取りつける材)による、壁よりも、面材を張った建物のほうが、変形しにくく、固い建物になります。

特に、梁や柱などの、軸組(じくぐみ)を伝わって、力を伝達させるのではなく、面材を連続させて、強度を発揮させる工法では、さらに固い建物になります。

軸組(じくぐみ)とは、木造建築で、土台・柱・桁(けた)・筋交(すじか)いなどからなる壁体の骨組み。(※コトバンクより引用)

たとえば、飛行機の機体は、すべて面で囲まれていて、一体型になっています。

こうした構造体を、モノコック構造といい、高い強度を発揮します。

ちなみに、飛行機は、一体化した機体をつくるために、接着剤が使用されています。

ボルトやリベットでは、機体が重たくなり、ボルトの穴の部分が、弱くなってしまいます。

住宅でも、接着剤を使用すれば、さらに強度は増し、より固い建物ができます。

しかし、強さだけでは、地震対策とはいえないのです。

地震対策 反発する力を抑える

こうした固い建物の耐震実験を実施し、いくら揺らしても、壊れなかったという、広告も見かけます。

しかし、建物は壊れなくても、建物内で起きている揺れに、注視する必要があります。

それは、応答加速度が関係しています。

バネだけを付けた車では、悪路ではねてしまうのと似ています。

反発する力が、大きくなってしまうからです。

たとえば、耐震実験に使われる、阪神淡路大震災で計測した、地盤面の加速度818ガルで揺らしても、固い建物の上層階では、300~400ガルの応答加速度が発生しています。

それだけ、家の中が激しく揺さぶられたら、中にいる人は大変です。

実際の地震でも、昔のブラウン管テレビや、冷蔵庫などが、ガラス窓を突き破って、外に飛び出している事例もあります。

決して、非現実的な話しではありません。

車のダンパーを付けるように、このような固い建物に、制震装置を付けると、応答加速度は、半減します。

耐震性の高い建物には、制震装置は、不可欠であると考えるべきなのです。

しかし、制震装置は、変形量が発生しないと、働き始めません。

車も、平らな道を走っているのであれば、バネもダンパーも必要ありません。

車体が、上下するするような動きがあったときに、ダンパーの役割が発揮されるのと、同じです。

ところが、耐震性を高めて、固くなった建物は、じつは、同じ力が与えられたとしても、変形しにくい建物になっています。

要は、できる限り少ない変形量で、制震の機能を発揮するダンパーを使わなければ、本当の効果を発揮することができません。

これは、構造が固く、耐震性の高い建物に適した、制震装置の選択が、ポイントになります。