地震に強い家と弱い家 地震のエネルギーを吸収して家が倒壊しないようにする

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地震対策 木造住宅と鉄骨住宅は、もともとが制震構造です

阪神淡路大震災では、鉄骨プレハブ住宅は、壊れなかったとされています。

被害がなかったかといえば、そうではありません。

鉄骨構造は変形量が大きいので、建物がひずんだ分、壁に貼られていたビニールクロスなどが、破れるという被害が多く発生しました。

建物には影響がないので、心配はないのですが、壁が破れて見えますので、住んでいる人からすれば、大変なことです。

壊れているのではないかと心配して、問い合わせたが寄せられていました。

木造住宅も同じように、固い耐力壁がなければ、変形量は大きくなります。

そもそも、本来の木造は、無数にある、木と木のつなぎ目がこすれて、衝撃を吸収することで、震動に耐えていると、考えられています。

建物が変形することは、木造住宅の特徴のひとつであり、大切な機能なのです。

その木造にしても鉄骨造にしても、変形量が大きい建物は、それだけで、制震の機能が働いているといえます。

ただ、元に戻る力が弱いので、バネのように周期運動を起こしにくいのです。

変形することで、地震のエネルギーを逃がしています。

熊本地震での熊本城でも、似たような効果があったと、考えられています。

報道されているとおり、瓦が落ちた天守閣の姿は、あまりにも悲惨でした。

しかし、瓦が落ちることで、地震のエネルギーのすべてが、本体に伝わらなかったと考えられています。

しかも、天守閣3棟のうち、瓦が落ちた2棟は、なんと、鉄筋コンクリート造でした。

固い建物は、地震力を吸収しきれずに、瓦が落ちたのです。

もう一つの天守閣は、木造でした。

痛んでいるものの、木造の制震性が働いて、瓦が落ちなかったと考えられています。

まさに、制震装置の必要性を、比較実証してくれたようなものです。

このように、地震とは、とても複雑なのです。

地震対策 地震エネルギーを熱に変えて逃がす?

変形量の大きい建物にも、制震は効果を発揮します。

制震については、大手鉄骨メーカーでも採用して、CMに使っていたときもあります。

地震エネルギーを熱に変えて吸収する、といったキャッチフレーズが、よく使われていました。

そもそもが、制震装置の構造は、本来動きにくいものを、動かすことで、震動を抑える機能を発揮させているものです。

大きな摩擦があるところに置かれたものを、滑らせて動かそうとすると、かなりの力が必要になります。

無理に動かせば、摩擦熱が生じます。

この摩擦という現象を使っても、制震に役立てることができます。

ただ、変形量の大きい建物の、制震効果としては、エネルギーを熱に変えて減らすことよりも、変形量を抑えることの方が、大事であることを忘れてはいけません。

熱が出るか否かは、制震性の善し悪しとは関係ないのです。

変形量を抑えることは、じつは、耐震性そのものが、劣化するのを防いでくれるのです。

耐震のために、しっかりと金物や釘で、止めていたはずの、つなぎ目も、地震で何度も揺らされているうちに緩み、当初の強度が出なくなります。

このような耐震性の劣化を、制震で変形量を抑えることによって、起こりにくくします。

そして、何回も来る地震に耐えられるようになるのです。