地震が発生しても、起きなかったことにすることは、不可能ですが、大地震を、普通の地震にすることは、不可能ではありません。
考え方を変えれば、安くでき、先人たちの知恵の中から、わかってきたことです。
免震・減震とはどんなものでしょう?
地震対策 免震は考え方がちがうものです
地震が発生すると、木々にとまっていた鳥たちは、一斉に飛び立ちます。
地面が割れ、どんなに激しく揺れても、素知らぬ顔で飛び立ちます。
免震を表現すると、この鳥のようなものです。
地震は発生しなかったのと、同じことです。
制震と耐震の仕組みは、地面から伝わってくる地震動に対して、どのように耐え、どのように振動を抑えるかといった、考え方です。
免震の場合は、どのように震動が、伝わらないようにするか、という考え方です。
これによって、大きな違いが生まれます。
制震と耐震で大事なことは、力の伝わり方や、揺れ方を明らかにするためには、建造物を構成するものを、しっかりとつなぐことが前提になります。
建築では、これを、緊結(きんけつ)といいます。
しかし、免震の考え方では、震動が伝わらないように、どこかで、縁を切らなければなりません。
鳥のように、空へ飛び立つことはできませんが、多少なりとも、減らす方法が考えられるはずです。
減震という表現を、使用している人もいますが、基本的な考え方は、免震と同じです。
振動を減衰させる制振と、混同しやすいので、減震も免震一部として、考えることにしましょう。
では果たして、家のどの部分から縁を切って、震動が伝わらないようにしたらよいのでしょう?
古建築では、礎石の上に、柱が立てられるのは普通でした。
ずれないよう、礎石に突起をつけたものもありますが、平らのままの礎石もあります。
建物は、この礎石の上に、のっているだけですので、昔の建物は、免震であったという人もいます。
しかし、これでは、地震の力の伝わり方が、想定できないので、耐震の構造計算が、成り立ちません。
法律的には、柱の脚元は、しっかりと、基礎に固定されなければなりません。
したがって、免震の家を考えるときには、基礎の下で、免震の仕組みを考えなければなりません。
地震対策 免震構造から生まれるデザイン
免震構造の建物は、コストがかかることから、住宅よりもの先に、大型建築で普及しています。
今では、免震を行っていないマンションは、ないと思われるほどです。
建物を免震にすると、じつは、大きな発想の転換ができます。
例をあげますと、東京の表参道の、ケヤキ並木の中に建っている、トッズ表参道ビル(竹中工務店)の外観は、象徴であるケヤキを抽象化して、デザインされています。
まっすぐな柱はなく、素人目にも、大変な構造であろうと、想像できます。
(※竹中工務店のウェブサイトから引用)
このビルの美しさを支える技術は、すべて形状の異なる、ガラス面には、サッシ枠が見えません。
コンクリートの建物本体に、直接、取り付けられているのです。
地震が発生したときに、建物が変形すると、ガラスは割れてしまいます。
サッシ枠の中で、遊びをつくって、建物の変形が伝わらないようにすることが、基本的なつくりかたです。
ガラスにとっての免震化のようなものです。
しかし、トッズ表参道ビルには、その枠がありません。
建物を免震構造にすることで、地震の揺れを建物に伝えず、変形しにくいことで、このような、デザインが実現されるのです。
まさに、地震は起きなかったことにするような、可能性を感じさせてくれます。