南海トラフ地震の確率は上昇している
南海トラフ沿いでは、ユーラシアプレートの軽い大陸プレートに、フィリピン海プレートの重い海洋プレートが、どんどんと、沈み込んでいます。
年間、3センチ~5センチ沈み込んでいます。
これにより、2つのプレートの境では、歪みが溜まり続けることになります。
その歪みは、やがて、解消されます。
解消とは、元に戻ること。すなわち、地震となります。
その地震は、およそ、100年から200年の間隔で発生しています。
現在は2019年。73年前の1946年に南海地震が発生しました。
次の大地震が発生する確率は、とても高くなりました。
文部科学省地震調査研究推進本部にて、南海トラフ地震の長期評価として、30年以内の発生確率は、南海地震では60%程度、東南海地震については、70%~80%とされています。
ただ、2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した、東日本大震災でもわかるように、現在の科学では予想が困難です。
とはいえ、過去の事例から、想像はできます。
1707年に発生した、宝永の大地震の震源域は、1854年にあった安政南海地震や、1946年の昭和南海地震の時より、西方の日向灘へと大きく広がっていきました。
また、この付近の、フィリピン海プレートの地殻(地球の表層部)の厚さが、九州・パラオ海嶺の沈み込む周辺で、大きく変化し、プレートの構造が、変化していることが示唆されています。
また、トラフ付近では、固着性が弱いプレート境界部で、応力が蓄積されないため、大きなすべりは、ないとされてきました。
南海トラフ地震 予測の領域
東日本大震災では、海溝付近が大きくすべりました。
東日本大震災の経験から、トラフまでを新たな震源域としたので、危ない領域が広がったのです。
国が2012年に、南海トラフ地震の震源域の想定しました。
それによると、南海トラフ地震は、大きな地震源が想定されます。
なんと、駿河湾から日向灘まで、700キローメートルにもおよぶのです。
さらに、文部科学省地震調査研究推進本部によると、この震源断層域の中で、強震断層モデルを検討する強震断層領域は、プレート境界面の深さ10キロメートルより深い領域、およそ11万平方キロメートル、
津波断層モデルを検討する津波断層領域は、トラフ軸からプレート境界面の深さ10キロメートルまでの領域も、新たに含めることになりました。
その評価対象領域が公表されました。
地震調査研究推進本部事務局から抜粋(評価対象領域)
最大マグニチュードは9.1。
上記の評価対象領域のとおり、震源領域は巨大となりました。
南海トラフ地震は静岡で大地震の予測あり
また、津波を起こす海底地殻変動の原因になる、地下のプレート境界面の、大きなすべりが生じる領域も含みますので、この地震により、大津波に見舞まわれる可能性もあります。
震源域はとても大きくなり、静岡や高知では震度7,大阪では震度6強、21府県で震度6以上の、大きな揺れに襲われる可能性があります。
13都県で、10m以上の津波があり、最大32mと想定されました。
南海トラフ大地震で、200万棟以上の建物が倒壊し、30万人以上の死者が想定されます。
特に、静岡では短時間で高い津波に襲われます。およそ10万人の犠牲者を想定しています。
静穏期と活動期
よおそ100年から200年の間に、複数回の活動期と静穏期が生じています。
時期としては、1945年前後が、最近の活動期となります。
2016年に発生した熊本地震のような、活断層による内陸直下型地震と、南海トラフ地震のような海溝型地震とは、関係があります。
例えば、1944年に発生した昭和南海地震(M7.9)と、1946年に発生した昭和南海地震(M8.0)の海溝型地震の前に、
1925年に北但馬地震(きたたじまじしん)(M6.8)、1927年に北丹後地震(M7.3)、1943年に鳥取地震(M7.2)、1945年には三河地震(M6.8)など、内陸直下型地震が西日本で多発しました。
1854年の安政南海地震(M8.4)の時も、1819年の文政2年の地震(M7.2)、1847年の善光寺地震(M7.4)、1854年伊賀上野地震(M7.2)が発生。
南海トラフ地震の約50年前から、内陸直下型地震の地震活動が、活発となる傾向があるのです。
また、1946年の南海地震の後は、1948年の福井地震(M7.1)、1952年の吉野地震(M6.8)、1963年越前岬地震(M6.8)くらいで、兵庫県南部地震まで、西日本においては、大きな地震が発生していません。
この時期は、地震活動は、比較的静穏な時期と考えられています。
1995年に発生した兵庫県南部地震(M7.3)のあと、西日本では、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)、2001年の芸予地震(げいよじしん)(M6.7)、2005年の福島県西方沖地震(M8.0)、2007年の能登半島沖地震(M6.9)などが生じました。
記憶に新しい、2016年の熊本地震(M7.3)が発生し、活動期に入ったと考えられます。
海のプレートの動きは、海溝型地震の原因となるだけではなく、陸のプレートをも圧迫し、内陸部の岩盤にも歪みを生じさせます。
したがって、活断層帯の歪みが高まりますので、南海トラフ地震が近づくと、内陸直下型地震が増えるのではないかと考えられているのです。
日本には2000を超す活断層あり
日本中どこでも、マグニチュード6クラスの地震は発生します。
特に近畿・東海地方や九州中部では、多くの活断層が分布しており、要注意なのです。
また、東北の脊梁部(せきりょうぶ)やフォッサマグナ付近でも、活断層が多く見られます。
四国や紀伊山地には長い中央構造線が存在します。
フィリピン海プレートに西日本が押され続けています。
この岩盤が、東西方向に圧縮され、歪みが蓄積され、多くの活断層が分布しているのです。
これにより、西日本に活断層が多いのです。
新潟から神戸間はこの圧縮により、歪み集中しており、特に地震への警戒が必要となります。
東日本大震災では、海底が55メートルもずれました。
東北地方全体が、5メートルも東に動く、余効滑り(地震のあとで、地盤がゆっくりすべること)が生じました。
これらにより、日本列島は、とても不安定となり、地震はどこでも発生する可能性があります。
地震速報はスマホや携帯で、緊張感をもって確認するようにしましょう。
豪雨災害がとても多い
2015年9月に、茨城県の鬼怒川で堤防が決壊しました。
370mmの豪雨により、大規模な浸水に見舞われ、数千人が被害を受けました。
2014年8月に、丹波豪雨災害、広島土砂災害が発生。
局地的な集中豪雨により、多くの犠牲者が出ました。
近年、短時間での記録的な集中豪雨が、局地的で発生しています。
これが近年の豪雨災害の特徴となっています。
日本列島のどこでも、発生する可能性があります。
2013年には、山口市や萩市、また、伊豆大島で豪雨による土砂災害が発生し、多くの犠牲者が出ました。
2011年の台風12号は、連続した雨量により、紀伊山地で1600mm以上にも達しました。
150ヶ所以上の深層崩壊を含む、斜面崩壊や土石流が発生。
2009年8月には、兵庫県西部佐用町で作用川が決壊、氾濫。
327mmの豪雨は、20名もの犠牲者を出しました。
同2009年に、山口県の防府市(ほうふし)でも、豪雨による土砂災害があり、犠牲者が出ました。
2008年7月には、神戸市の都賀川(とががわ)で、鉄砲水が発生しました。
豪雨は、たったの30分で38mmに達し、親水公園にいた数名が犠牲となりました。
近年の日本列島では、火山活動も活発となり、豪雨災害が多発しています。
まさに、自然が牙をむいてきたと言っても過言ではありません。
これらの災害を教訓として、豪雨災害に備え、今後来るであろう、南海トラフ巨大地震への対策を考えることは、大変重要なことになります。