南海トラフ地震の被害想定 – 液状化と住宅被害

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地震による宅地被害 谷埋め埋土地で甚大な被害 東日本大震災でも顕著

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)は、主に津波の被害が多く報告されています。

仙台市周辺では、それ以外に、宅地の陥没や地滑り、家屋の傾きなど、被災した宅地が数千箇所以上ありました。

被災した人たちの、集団移転もありました。

宅地被害は、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)でも多くありました。

大きな被害は、谷埋め埋土地で発生しています。

阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)では、ゆるい山裾の谷埋め埋土地で、多くの被害がありました。

芦屋市で見ますと、盛土の厚さは、およそ2~5メートルの、傾斜のゆるい谷埋め埋土地で、住宅が被災しています。

マンション周辺の地面が陥没しました。

家屋や建物は、全体的に沈下して、コンクリート基礎杭も損傷しました。

そこから10数メートル宅地下部にある、住宅などの庭は、20~30センチ隆起しました。

これは、谷の頭の部分が沈み込み、下流方向への地すべりによる被害です。

盛土層の底面が、すべった可能性があります。

阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)では、神戸市内の学校で、35校が中規模修理、10校が大規模修理、122校中21校が建て替えとなる、甚大な被害を被りました。

谷や池を埋めた学校の多くが、被害を受けたのです。

長田区周辺では、丘陵地の谷を埋めた、学校7校中6校で、甚大な被害がありました。

公共建物(病院など)では、ため池などの、人工改変地(人工的に地形を変えたところ)に、建て替えられていたのは、およそ35パーセントありました。

地震で甚大な被害が出る可能性が高いのは、谷や池を埋めた土地です。

南海トラフ地震被害を想定する谷埋め埋土地の被害要因

ほとんどの谷埋め埋土地は、盛土と地山(自然の丘陵。その土地本来の山)または、盛土中の境界に地下水位があります。

たいていは、ゆるい砂で盛土されているため、盛土の砂粒間の間隙水圧(水の圧力)が、地震動で上昇し、砂粒は水に浮き、簡単に液状化してしまいます。

液状化すると、地層の地盤支持力は、極端に下がります。

また、地下水位が傾斜している丘陵地では、盛土層は重力により、簡単に側方流動(滞ることなく流れ動くこと)します。

谷埋め埋土地は、下流側に引かれ変形し、家屋が傾きます。

谷埋め埋土地域は、全国に、1万2000箇所以上あると言われています。

しかし、谷埋め埋土地の危険性は、あまり認知されていないのが現状です。

南海トラフ地震被害を想定する阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)での液状化被害

水に飽和した土粒子がゆすられ、土粒子は体積を縮めようとしますが、間隙水(かんげきすい – 堆積物中の土粒子間を満たしている水)は縮むことができずに、圧力が高くなり、土粒子の結びつきを切り、土粒子は水に浮いた状態となり、剪断応力(せんだんおうりょく)の抵抗力が落ち、液状化します。

剪断応力とは、ずれに伴い、材料の横断面に、互いに平行で、向きが逆に生じる応力です。ずれ応力、接線応力ともいいます。

液状化とは、河口の三角州など,地下水位が高く軟弱な砂質地盤が地震などに遭遇すると,運動する砂質粒子相互間の摩擦力が減少し,砂質地盤全体が一時的に支持力を失うなど,あたかも液体のように流動化する現象。【コトバンクから】

阪神間の埋立地や、神戸の、ほとんどの沿岸部は、液状化の被害を受けました。

兵庫県南東部、神戸市中央区の人工島ポートアイランドでは、液状化により、橋が損傷して、一時陸の孤島となり、1ヶ月以上の断水がありました。

地下水位が浅いこの辺りは、埋土の軟弱地盤ですので、とても液状化が発生しやすいのです。

したがって、埋土に用いる材料、あるいは締め固めには、注意が必要となります。

浚渫土(しゅんせつど)や海砂は、液状化しやすいので、埋め立てに使う土砂としては要注意です。

しかし、これは今も使用されているのです。

浚渫土(しゅんせつど)とは、海底や河川の底を掘削することにより発生する、土砂や堆積泥(へどろ)などのこと。【コトバンクから】

液状化したのは、海岸部だけではなく、池や谷などを埋めた内陸部でも発生しています。

東日本大震災では、3分と地震動が長かったこともあり、東京湾沿岸部などでは、世界最大規模の液状化が発生しました。

震度5以上で液状化します。

海砂などの、細かい粒のそろった砂で起こりやすく、しまりが悪く緩く、山土など、(れき – 小石)が混ざった粒が、不揃いの土では、起こりにくいとされてきました。

六甲山地の山土を用いて、ポートアイランドは埋土されました。この礫が混ざった埋土層も、液状化しました。

いくら埋め立の材料に注意しても、今回の地震では、液状化してしまったのです。これは教訓となりました。

東日本大震災では、世界最大の液状化が発生しました。

南海トラフ地震被害で想定する液状化による家屋被害

阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)では、大規模な液状化が発生し、芦屋浜の住宅では、甚大な被害はが生じました。

ほとんどの住宅で、不同沈下(基礎や構造物が傾いて沈下すること)が発生し、ほとんどの家屋が傾いたのです。

それらを調査した被害図は、被害住民が話し合って作成しました。

家屋の傾きは、およそ2度で、レベル差は25センチにも達しました。

マンホールなどは浮き上がり、家屋の周囲では噴砂が発生しました。

隣同士の家が、支え合うようにして傾きました。

液状化した地盤の支える力がなくなり、地表面が波打ち、亀裂が入り、家が沈み込みました。

圧力の高い地下の泥水層が、逃げるように地表に吹き出した結果、地盤が沈下して、家屋が傾いたのです。

大規模な液状化がなぜ起こったのか

兵庫県は、海砂の使用を認めています。

まさ土(花崗岩が風化してできた砂)と海砂を使って、埋立てられました。

海岸の水深10メートルに、土砂を15メートル入れて、差を5メートルにして、宅地を造成しました。

震災後、液状化しやすい海砂の説明は、説明会ではなかったと、住民は記憶しているそうです。

このあたりは、よく分かりませんが、問題は家屋の修復で、地盤改良工事やジャッキアップに、およそ一千万円以上のお金がかかることです。

個人負担です。公的補助は半壊認定の、10万円以下だったそうです。

のちに、最大級の液状化が、東日本大震災で発生し、住宅が大打撃を受けました。

そこで国は、認定基準を改善しました。

家屋の傾斜度によって、半壊と大規模半壊を認定しました。

傾斜が20分の1を超えた場合、全壊としました。

液状化で地盤が緩くなってしまった

これまで、液状化した地層は、ゆりこみ沈下で、強くなると言われてきました。

水が均一に、すべての埋土から、絞られるわけではありません。

水により、かき混ぜられた層もできるでしょう。

阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)では、N値が下がって、さらに軟弱となった層も多くありました。

地震により、埋め立て層の、どこが軟弱になったのか、状態を検証する必要性があるでしょう。

南海トラフ地震に備えなければなりません。

N値とは、標準貫入試験によって求められる地盤の強度等を求める試験結果(数値)の事。標準貫入試験値とも言う。地盤の硬さや締まりの程度を評価したり、基礎や地盤反力等の設計に必要な地盤定数の推定に利用する。【デジタル大辞泉から引用】