こんな生き物知っていますか?
マンビキ
店内の品物を盗むのが万引きですが、魚名として存在します。マンビキはシイラの別名です。マンビキは昔の釣り針にはかかりにくく、餌をよく盗まれたことから、マンビキと呼ばれるようになったという説があります。シイラはクマビキともいいます。それは九万匹の意味で、この魚が大きな群れをつくることから、そういわれます。この魚がマンビキと呼ばれるのも、それと同じ理由で、「万匹」の意味であるといった説もあります。
メモ
シイラ科の海水魚です。世界中の熱帯・温帯海域に広く分布します。回遊魚の表層魚で、日本近海には夏から秋にかけて、本州中部以南に現れます。大きさは2メートルにも達します。数尾か数百尾の群れをつくって、太平洋の表層を泳ぎながら、流れ藻や流木などの下に集まる習性があります。
ヤナギノマイ
柳の枝のように細いからだをして、優雅に舞うように泳いでいる魚を連想させますが、実際はずんぐりしていて、色も汚れたように見え、残念ながら優雅さは感じられません。漢字ではヤナギノマイは柳の舞いと書きますが、それは当て字です。この魚は刺胞(しほう)と呼ばれる毒液を注入する中空の管状のものを備えた、細胞内小器官を持つ刺胞動物のヤギ類などが密生することから、「ヤギの魚」の意味で命名されたといわれます。ヤナギノマイやヤナギはヤギ類のことで、マイは魚を意味する「メ」が転訛したものといわれます。
刺胞……刺細胞ともいう。クラゲ・イソギンチャクなどの刺胞動物の内外表皮に含まれる特有な細胞で、囊状(のうじょう-ふくろのような形)の刺胞を作り出す。刺胞中には螺旋(らせん)状に巻いた刺糸があり、外部からの刺激で突出して物に刺さり、毒液を注入する。これで身を守り、また餌をとる。
ヤギ類……刺胞動物花虫綱八放(かちゅうごうはっぽう)サンゴ亜綱ヤギ目に属する種類の総称。
転訛……てんか-言葉のもともとの音が、なまって変わること。
メモ
フカカサゴ科の海水魚です。オホーツク海、東北地方以北、日本海北部、南千鳥に分布します。水深200メートルの砂泥低域や岩礁域に生息しています。大きさは35センチ程度。ヤナギノマイという魚名はもともと東北や北海道で呼ばれている名で、なまってヤナギノマエとも呼びます。
コトヒキ
音を出す魚がいます。たとえば、ネンブツダイはブツブツと念仏を唱えるような音を出します。ギギという魚はギーギーという音を出すため、そこからその名前がつきました。コトヒキは定置網や投網、または釣りによって漁獲されますが、網に入ったり、釣り上げられたときに浮き袋を使いグーグーという音を発します。コトヒキ(琴引き)という名前は、その音が琴の低い音に似ていることから命名されました。
メモ
シマイサキ科の海水魚です。インド洋、西太平洋、紅海、南日本、沖縄に分布します。内海や沿岸の浅瀬や河口に生息します。大きさは20センチから30センチ。体に黒色の3本の縦縞があるのが特徴です。フエフキ(笛吹き)やシャミセン(三味線)などの別名もあります。魚の発する音がいろいろな音に聞こえるからです。
アブラボウズ
アブラボウズはギンダラ科の魚です。他の科の魚にも、アブラガレイやアブラハヤなど、アブラという名がついた魚がいくつかあります。アブラガレイはその身が油っぽく、アブラハヤは体の表面がヌルついているいるので、その名がつきました。では、アブラボウズはなぜアブラなのでしょう。この魚もアブラガレイと同様で身が油っぽいからその名が付きました。脂肪分が多く、食べ過ぎると下痢を起こします。またこの魚は頭が丸っこいので、アブラボウズという名が付いたのです。
メモ
ギンダラ科の海水魚です。アメリカ中部カリフォルニア、ベーリング海、本州中部以北の太平洋に分布します。幼魚は表層の漂流物について集まり、成魚は水深100メートルの岩礁域に生息します。大きさは1.5メートルから1.8メートル。食用とされ、みそ漬けや照り焼きにして食べられます。