多くの人が間違える、がんについての知識
昨今、日本人の2人に1人が、がんにかかると言われています。がんの治療費だけではなく、その他、いろいろなコストがかかることを頭に入れておき、賢く保険を選択しましょう。
・がんイコール死ぬ、といったイメージは間違い。がんは治るというイメージ。
がんにたいする死のイメージは払拭したいですね。医学の進歩により、早期発見・適切な治療を行えば、治る病気になりつつあります。
・がんは手術だけで治す、ではなく、通院と投薬での治療が増えている。
手術はがんの治療法として一般的でしたが、症状によっては、薬物療法や放射線治療でも、同等の効果が得られるように成っています。
・がんは高齢者の病気、ではなく、女性の場合発症年齢が早いので気をつけたい。
がんは高齢者がかかる病気と思われていますが、子宮がんや乳がんの若年罹患率(りかんりつ)が、増加していることは覚えておいてください。
罹患(りかん)とは病気にかかることです。
がんの新常識
罹患率(りかんりつ)と死亡率はわけて考える
3人に1人はがんで亡くなるのは事実です。
悪性新生物が死因順位の第一位です。日本人の3人に1人はがんで死亡しています。年間に約30万人以上の人が、がんで死亡しています。
悪性新生物の部位によっては死亡率が10%です。肺がんによる死亡率が最も多いです。喫煙率の高い男性は、女性に比べて肺がんでの死亡率は87%と、がんの中でもっとも高くなっています。
反対に女性の子宮がんは、死亡率が10%ですので、もはや死に至る病気ではなくなっています。
がんは他の疾病に比べて入院日数が短い
入院日数が長いのは、圧倒的に脳血管疾患の場合です。がんによる入院日数は、およそ20日と短いのが特徴です。
ちなみに、悪性新生物:19.9日、心疾患:20.3日、肝疾患:25.8、糖尿病:35.5日、高血圧性疾患:60.5日、脳血管疾患:89.5日です。(※厚生労働省「患者調査の概況」平成26年から)
医療の発展により、がんの入院日数は短縮しています。これまでがんは、入院が長いといったイメージがありましたが、通院治療の普及の背景に、入院日数は過去15年間で、3分の2以下に短縮しています。
女性特有のがんは若いうちから発生しやすい
男性よりも女性のほうが、がんの発症年齢が早いのです。得に30代から50代前半の女性は、同年代の男性よりも、がん罹患率(りかんりつ)が高いのです。乳がんや子宮がんの若年罹患率増加がその背景にあります。
また、40代女性の乳がん・子宮がんともに罹患率がもっとも多く、全体の5割を占めています。統計上、得に乳がんは40代後半がピークとなっています。年齢が上がるにつれて、結腸がんや胃がんなどの割合も上がってきます。
治療費はがんにかかるお金だけではない
1.現在のがん患者の自己負担費は21万円です。
21万円というのは、がん患者の自己負担は、民間保険からの給付や、高額療養費などを差し引いた実質的な額です。
治療費の自己負担額は部位によって異なります。部位によっては、自己負担額が50万円程度の高額になることもありますので、覚えておいてください。部位によって20万円~50万円くらいの差がでます。
2.治療はほぼ、手術、放射線、抗がん剤です。
この三大代治療で治療するのが一般的です。
がんの治療は、技術革新により、放射線治療や薬物治療法でも、症状によっては、手術と同じような効果が得られるようになりました。
3.意外な費用が治療費以外にもかかります。
治療費以外にもさまざまな費用がかかります。がんになったときの費用は治療費のみではなく、通院の交通費や入院したときの家族の宿泊費、定期検査費用など、治療費以外の負担は大きいです。
たとえば、50万円の治療費の自己負担額を、上回ることも少なくありません。
がんになって治療費以外にお金がかかった上位は、
- 1位-治療の際の交通費・宿泊費
- 2位-定期検査費
- 3位-健康食品・サプリメント購入費
- 4位-外食費
- 5位-ウィッグ(かつら)の購入費
です。
他にも、入院時の日用雑貨、お見舞い返し、パジャマ、タオル、ベビーシッター代、介護費用(車いす、レンタルベッド、おむつ、介護用品、専用下着、ストッキングなど)があります。
治療費は千差万別
50歳男性、Aさんの早期発見の胃がん治療は36万9000円でした。早期発見で経済定期負担は軽減できます。
費用の内訳
1年目 | 内視鏡検査でがん診断。手術を行う | 内視鏡治療 | 1万7000円 |
入院治療(手術費)5日間 | 7万8000円 | ||
入院時の諸経費、食事代の一部、生活費、がんに関する書籍購入など※実費 | 2万円 | ||
薬物療法(6ヶ月の抗がん剤治療) | 20万4000円 | ||
2年目 | 3ヶ月に1回定期検査 定期検査 | 定期検査、年4回の内視鏡検査・血液検査 | 4万円 |
通院の交通費※実費 | 1万円 | ||
合計 36万9000円 |
一方、47歳女性、Bさんの場合、治療費が353万円かかりました。
5年前に乳がんの告知をうけたBさんは、手術後に再発防止のための治療を行いましたが、再び3年後に肝転移しました。併発したリンパ浮腫の治療も合わせての治療費でした。
費用の内訳
1~2年目 | 精密検査で乳がんと診断,乳房摘出手術、再建手術などを行う | 精密検査(マンモグラフィー、エコー、マンモトーム生検、MRI検査など) | 3万3000円 |
薬物療法(抗がん剤治療) | 21万6000円 | ||
入院費(手術費、14日間)乳房全摘出手術及びリンパ節郭清術(かくせい)、右乳房の同時(一時)再建※高額医療費適用 | 8万7000円 | ||
差額ベッド代 | 28万円 | ||
入院時の諸経費(パジャマ代、手術の際に必要なT字体などの実費)※実費 | 1万円 | ||
入院時の家族にかかった費用(家族の外食費、通院の交通費など)※実費 | 3万円 | ||
再発防止のための薬物療法(抗がん剤治療)6ヶ月間 | 17万3000円 | ||
副作用を緩和させるための費用(ウィッグ、健康食品、サプリメント、漢方薬品など)※実費 | 10万円 | ||
薬物療法+ホルモン療法 | 28万5000円 | ||
副作用を緩和させるための費用(ヨガ、健康食品、サプリメント、漢方薬品など)※実費 | 100万円 | ||
3~5年目 | 肝転移がみつかり、薬物療法、ホルモン療法を行う | 薬物療法+ホルモン療法 | 64万3000円 |
副作用を緩和させるための費用(ヨガ、健康食品、サプリメント、漢方薬品など)※実費 | 15万円 | ||
リンパ浮腫を発症。リンパドレナージを行う | リンパドレナージ(月1回、約1万5000円×12回) | 18万円 | |
リンパ浮腫予防の弾性スリーブ代 | 1万8000円 | ||
再発のための治療&定期検診 | 診察・検査料 | 20万円 | |
通院のための交通費※実費 | 8万円 | ||
その他の雑費(がんの関連書籍の購入など)※実費 | 5万円 | ||
合計 約353万円 |
がん保険3つのトレンド
1.100万円以上の診断給付金
がんと診断されたショックを和らげるためにも、診断給付金は受取りたいものです。金額的にも精神的にも負担が軽くなります。
2.5回もしくは無制限の支払い回数
診断給付金の支払い回数を、無制限に設定している保険会社もありますが、一般的には5回などの制限が設けられています。普通は2年に1回を限度としています。中には、1年に1回だったり、初回のみに設定しているケースもあります。
3.同額保障が理想の上皮内新生物
上皮内新生物 | 悪性新生物 | |
症状 | 転移の可能性は少ない | 転移の可能性あり |
保障 | 減額または対象外 | 主契約の対象 |
保険会社が対象とするがんには、上皮内新生物と悪性新生物の2種類があります。
上皮内新生物は、腫瘍が上皮内に溜まるもので、転移の可能性は少ないですが、悪性新生物の場合には、命に関わることが多いです。上皮内新生物を保障しないからといって、よくないがん保険、というわけではありません。
手厚い治療給付金やがん診断給付金のある保険を選択しましょう。
入院が短期化し、通院治療が増えてくることを考慮するのであれば、入院給付金よりも診断給付金を重視すべきでしょう。
もちろん、入院給付金はないよりもあったほうがよいのですが、1日1万円では心許ないですね。入院給付金よりも診断給付金を受け取れたり、放射線治療や抗がん剤治療などにも対応できるがん保険を検討しましょう。
最近では、悪性新生物の治療を通院で行うケースが増えてきています。がん患者総数のうち通院患者の割合は、およそ60%程度と、通院の方が多いです。
一時金は診断から通院まで
診断:診断給付金は、がんと診断確定されたときに給付されます。保険会社によっては受取る回数や条件があります。
入院:がん治療を目的として入院したときに、給付金を受け取れます。検査入院は対象外となります。
手術:がん治療を目的として所定の手術を受けたときが対象です。金額は商品によってさまざまです。
退院:数は多くはありませんが、がんでの入院を一定日数以上経て、退院時に一時金がもらえる保険もあります。
通院:がんの治療を目的として通院したときが対象です。通院特約のないがん保険も存在しますので注意してください。
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