マツダの快進撃にトランプ大政権が立ちはだかる。
ヒット車が続いたせいで、最近のマツダは好調だ。日本車の他メーカーから比べると輸出比率が高いせいで、円安の恩恵もあり輸出が伸びている。その中でもアメリカは稼ぎ頭だ。
アメリカ向けの拠点としているメキシコ工場も、トランプ政権の標的になりかねない事態となった。
財務改善の矢先である。
トランプ大統領は一日、貿易を有利にするために日本は円安誘導を行っていると批判した。
その日、株式市場では、マツダの株価終値は29円安となった。ほかの日系メーカーと比べて大きな下落となった。
トランプ大統領がツイッターで、トヨタ自動車を攻撃した1月5日以降でみると15.6%の下落となった。グラフ参照。↓
バブル崩壊やリーマン・ショックで、過去に幾度も危機に陥ったマツダは、2010年以降、デザインを一新する。その結果、燃費のよいエンジンを搭載したスポーツ用多目的車(SUV)「CX-5」やコンパクトクロスオーバーの「CX-3」、小型車デミオなどがヒットした。
円安の追い風もあり業績は回復し、実質無借金の状態まで財務改善を果たした。
日本でもスカイアクティブエンジンを搭載したCX-5の新型車を発売し、世界の販売を年5万台ペースにといった成長戦略を描いていた。
ところが戦略の壁と立ちはだかるのが、トランプ政権が掲げる「米国第一」の政策だ。
国内生産に集中しているマツダは、ほかのメーカーと比べて、8割と輸出比率が高い。円安時には利益が大きいが、ドルベース1円の円高で、年14億円が消え失せることになる。輸出比率を下げる対策として2014年にメキシコに工場をつくった。その多くはアメリカ向けである。
だがトランプ政権が、北米自由貿易(NAFTA)を見直し、メキシコからの輸入品に高い関税をかけることになれば、水の泡だ。
JPモルガン証券の試算では、関税が5%上がると、営業利益は2.7%減るという日産自動車に次いで影響度が大きい。
アメリカ市場は稼ぎ頭であるが、大統領政策の影響を受けて競争力を失えば、作戦を練り直さなければならない。