今後ますます伸びる電子カード
日本クレジット教会によると、クレジットカードの利用額は年間で約50兆円と電子マネーの10倍程度だが、日銀などの調査では千円以上の決済では、電子マネーを選ぶ人がクレジトカードの2倍以上いるという。手軽さが少額決済に強みを発揮しているようだ。
2016年の電子マネーの決済金額が初めて5兆円を突破した。2月28日に日本銀行が公表した統計で、決済件数も50億件を超えたことが明らかになった。統計は交通系のSuicaを含めた5社とnanaco、WAON、楽天Edyの8社の合計額で、電車の利用などはのぞいている。
2007年からの調査開始以来、電子マネーの利用は右肩上がりで増えており、買い物でのキャッシュレス化が進んでいる。
決済金額は前年より、10.8パーセント多い5兆1,436億円。件数は51億9,200万件で11.0パーセント増えた。伸び率は共に15パーセント台だった前年を下回ったが、8社の電子マネーが使えるカードや携帯電話などの発行数は、2016年末時点で前年を11.6パーセント上回る3億2,862万枚だった。そのうち3,091万枚がスマホ、携帯電話が占めている。
2016年10月か米アップルのスマホiPhoneの最新機種がSuicaを使えるようにしたことも、利用者の増加に弾みをつけた。JR東日本広報部は「待ちわびていたという声が多く寄せられた」と話す。
実際、今年1月末までの4ヶ月で、モバイルSuica会員は47万人増え、その多くがiPhoneの利用者とみられる。今のところiPhoneが主要な電子マネーでSuicaにしか対応していないのを好機に、首都圏を中心にさらなる利用者拡大をめざす。
電車の切符代わりに使えるSuicaは楽天Edyとともに、2000年代前半に先行している。その後、2007年4月に流通2強のイオンのWAONとセブン&アイ・ホールディングスのnanacoが参戦。お年寄りや主婦やの買い物客を中心に一気に利用者を広げてきた。
イオンは昨年春、WAONの決済額が年間2兆円を初めて超えたと発表。市場全体の4割前後を占める。
スーパーを多く構える地方や郊外での利用が多いが、最近はコンビニのローソンやサークルKサンクスなど使える場所を増やし、広報は「イオングループ以外での利用金額が前年比5割増以上伸びている」という。
セブン&アイ・ホールディングスは高めのポイント還元率をうりに、nanacoの利用を促している。
2010年にはネット通販大手の楽天は、地方の中堅や中小スーパーの開拓に力を入れている。日本人の1人当たりのカード保有数は増える傾向にあり、楽天幹部は「今後はカードをただ持たせるだけでなく使わせる工夫も必要だ」という。
電子カードの普及はますます増えそうだ。