La Vie en Rose
著者プロフィール
村上由佳(むらやまゆか)
西暦 | 記事 |
1964年 | 生誕 |
立教大学卒業 | |
1991年 | 「いのちのうた」で環境童話コンクール大賞 |
1993年 | 「天使の卵・エンジェルス・エッグ」 で小説すばる新人賞を受賞してデビュー |
2003年 | 「星々の舟」で直木賞を受賞 |
2009年 | 「ダブル・ファンタジー」で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、 柴田錬三郎賞の3賞受賞 |
2011年 | 「放蕩記」を執筆。母との葛藤を描いた、初めての自伝小説 |
その他、
200万部超の「天使」シリーズ最終章「天使の柩」、「おいしいコーヒーのいれ方」
青のフェルマータ
遥かなる水の音
すべての雲は銀の…
永遠。
天翔る
花酔ひ
もう一度デジャ・ヴ
きみのためにできること
地図のない旅
など多数あり。
長編小説、La Vie en Rose(ラヴィアンローズ)~あらすじ~
本のタイトルは、フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフの歌った、”ばら色の人生”「La vie en rose」。
著者曰く「書いてきた中で最も恐ろしくて哀しい物語」とのこと。
他界した両親から受け継いだ庭付きの一軒家。
そこで、デザイナーの夫、藍田道彦(あいだみちひこ)と暮らす三十八才の妻、咲季子(さきこ)。
父親が庭師につくらせた、和風庭園を咲季子が受け継ぎ、見事なローズガーデンに生まれ変わる。
咲季子は花の写真や、花にまつわる文章をブログに載せていた。
料理やお菓子、アンティークの食器や家具を活かした、日々の生活の知恵や工夫などをおりまぜて載せるようになった。
道彦の撮った、わざと顔をぼかしたり、横を向いて作業する咲季子の写真を掲載するようになって、ブログの人気に火がついた。
大手出版社が目をつけ、庭仕事についての本を出版。
そのかたわら、フラワーアレンジメント教室を開く。
咲季子も知らぬうち、カリスマ主婦として名を知られるようになる。
その影で夫婦生活は順風満帆ではなかった。
ブライドが高い夫の道彦は、威厳を示すために咲季子を束縛する。
咲季子の愚鈍さや無能さをなじり、咲季子の人格を否定し、服装にまで口を出す。
門限もあり、外出する場合は、何日も前に道彦に、許可を得なくてはならない。
道彦は咲季子が秘密を持つことは決して許さない。
繰り返されるモラルハラスメントにマインドコントロールされていく。あたかも自分が無能であることを認めていってしまう。
そんな道彦の機嫌を損ねないよう、生活を強いられていた。
物語は淡々と進むかと思いきや、徐々に不穏な空気に包まれていく……。
新しい本のデザインを担当する、年下の堂本との出会いが咲季子の運命を変えていく。
男と女としてお互いに惹かれ、ついには一線を越えてしまう。
積極的な堂本に導かれ、逢瀬を重ねる咲季子。
不倫という取り返しのつかない秘密を持ってしまった。
こよなくバラを愛する咲季子は、庭の手入れは欠かさない。
大事に育てているバラを「たかが花」という道彦。
庭で作業する咲季子を盗み見る、不気味な男の影がちらつく……。
「俺に隠していることがあるだろう」
道彦の言葉に咲季子は凍り付く。
やがて物語は驚愕の展開へと急転。
バラの庭に咲季子は”それ”を埋めた……。
感想
不倫、
最悪の選択をした咲季子ですが、なぜか彼女に感情移入してしまいます。
悪いのは彼女だけれど、夫の道彦がゲスヤロウの典型的タイプだからかも知れません。
作者もそれを狙って、こんなタイプの夫にしたのだと思いますが。
まさに、「いそうだな、こんなヤツ」なのです。
一度、読んでみてください。あなたのまわりにも、いるのではないでしょうか。
私のまわりにも似たようなヤツ、いますから。いや、私じゃありませんよ。
また、登場人物の印象が一転二転するのも、見どころ(読みどころ)かもしれません。
小説すばるの2014.12から2016.3までの掲載でした。私は小説すばるを購入していましたので、連載中に読みました。
小説すばるを一年購読すると、1,000円分の図書券もらえますよ。もらえるのは、たしか最終月(1年後)だったと思います。さらに1冊分程度の割引。読むなら年間契約が絶対お得です。いや、小説すばるの回し者ではありませんよ。