太り気味 – 健康を害したら食べて治す栄養学
ダイエットとして、すぐに実行できるものとして、食事での食べる順番を変えることで効果が期待できます。
定食の場合、まずは、一番早く胃袋に到達する汁物から食べていきます。汁物が胃に入ると、その刺激で脳が消化酵素を出しやすくして、体が食事の準備を開始します。これで、血糖値の上昇を抑えて、食物を脂肪にしにくくするのです。
汁物がない場合は、白湯(さゆ)や常温の水を初めに飲みましょう。とにかく先に水分を胃袋に入れることで、物理的に、あとからの食物が入る容量を減らします。水分をゆっくり飲むことで、気持ちをリラックスさせ、食欲を安定させる効果もあります。
胃の容量を減らす水分は、冷たいものよりも温かいほうが、胃の中での停滞時間が長いですので、温かい飲み物がオススメです。
食事を汁物から副菜の順で食べると、満腹感が得やすい
続いて、野菜などの副菜を食べます。満腹感を得やすく、酵素の分泌を促しますので、よく噛んで食べることがポイントです。
この順番で食事をすることで、そのあとにご飯やおかず、麺類、パンなどを食べても、胃に負担をかけずに消化ができて、食べ過ぎを予防することができます。
また、食材選びと調理方法も大切です。たとえば、同じ量の牛肉でも部位によってエネルギーの量が変わります。バラ、サーロイン、肩ロース、もも肉、ヒレ肉の順にエネルギーが低くなります。
調理方法も蒸す、ゆでる、網焼きはヘルシーです。サーロインを食べるのであれば、薄切りにして網焼きにしましょう。これで余分な脂を落とすことができます。
脂肪のすくないもも肉は、厚切りにして、油をひかずにフライパンなどで焼きますと、肉自体の脂肪が全体になじみ、おいしく仕上がります。
揚げたり、炒めたりすると、余計な油を摂取することになりますので、太り気味が気になる人は、おいしいですが、頻繁に食べるのは控えましょう。
1日のエネルギー摂取を1200~1500キロカロリーに抑えたい
お酒の場合は量にもよりますが、梅酒や紹興酒よりはウィスキーや赤ワインがオススメです。酎ハイであれば、ジュース系で割るのではなく、緑茶やウーロン茶割りにするとエネルギー摂取を抑えられます。
ダイエットするのであれば、1日のエネルギー摂取を1200~1500キロカロリーに抑えましょう。ただし、逆に、1200キロカロリーよりも少なくなると、必要な栄養素である、たんぱく質、鉄、カルシウムなどが欠乏したりして、基礎代謝を下回ることになります。
極端に食事量を減らすようなダイエットは、確実に健康を害します。食物繊維と水分を増やすことで、今までの食事量を維持しながら、脂肪と糖質を控えて、抗酸化物質を含めた必須栄養素をちゃんと摂取することが大切なことです。
語句
白湯……さゆ – 真水を沸かしただけの飲用の湯。
抗酸化物質……細胞の傷害を予防したり遅らせたりする性質がある。
ストレス過敏 – 健康を害したら食べて治す栄養学
5年に1回の割合で厚生労働省が調べている「労働者健康状況調査」によりますと、約60パーセントの労働者がストレスを抱えているといった結果が出ています。まさに、現代はストレス社会なのです。
ストレスの種類は、寒い熱いなどの物理的なものや、公害物質や薬などの化学的なもの、仕事内容や人間関係などの心理的なものなどがあります。
適度なストレスはある程度の刺激となって、心身によい影響を与えるですが、ストレスの量が多くなりすぎると、通常の生活に悪影響を与えるほどの支障をきたします。
労働者の6割の人がストレスを抱えている
自律神経がストレスに関わっています。胃がキュッとなったり、ドキドキするのは交感神経が優位に働いています。このようなときは、食欲がなくなりますが、ストレスが消滅すると、今度は副交感神経が優位となり、気分が落ち着いてきて、お腹も空きます。
われわれ人間はこのようなバランスを自然にとろうとします。しかし、ストレスの長期化や過敏になると、それらのバランスが崩れ始めるのです。
3ヶ月以上、辛い心配事を抱えていると、ストレスが慢性化して、不安障害に陥ります。そうなると、次のストレスに備えるため、脳がストレスホルモンを分泌させます。
ストレス過敏による食べ過ぎに注意しましょう
このストレスホルモンは血糖値を上げる作用があります。多くのストレスホルモンが分泌されると、脂肪がたまりやすくなるのです。したがって、ストレスを解消させるために食物を食べると、肥満につながっていきます。
逆に不安障害に陥っているときは、太る人もいれば、やせてしまう人もいます。これは自律神経をコントロールできないからです。
ストレスによる食べ過ぎで注意することは、肥満への恐怖感にとらわれて、さらにストレスと感じてしまうことです。摂食障害になる可能性があるため、ストレスがある場合、また、感じている場合は、ムリに食べるのを控えたり、食べることでストレスを解消しようとするのは、やめましょう。太ったりやせたりする以前に、心身の健康を害してしまいます。
このような、深刻化するストレス社会を改善すべく、2015年12に労働安全衛生法が改正されました。働いている人が50人以上いる事業所は、働いている人へのストレスチェックを、1年以内に1回以上実施する制度を義務化しました。
ストレスに関する内容を記入し、ストレス状態を確認するチェックシートがあります。メンタルヘルスの不調などを未然に防ぐための仕組みとなっています。このようなストレスマネジメントの動きはこれからますます大きくなっていくでしょう。
語句
摂食障害……せっしょくしょうがい – 食行動が正常でない状態。無食欲・偏食・過食・多食・拒食、嗜好の異常など。多くは精神病理的背景を持つ。
自律神経……意志とは無関係に、血管・内臓・汗腺などを支配し、生体の植物的機能を自動的に調節する神経。交感神経と副交感神経とがあり、その中枢は脊髄と脳幹にある。植物性神経。
腰痛 – 健康を害したら食べて治す栄養学
生涯で、5人中4人の人が、腰痛を経験するといわれています。その割合はなんと8割です。腰痛で悩む人は19才から45才が多いのです。生命の危険に直接関係する腰痛はほとんどありませんが、日常生活に支障をきたすので、腰痛を感じたら早めに軽いうちに対処することが大切です。日頃からの予防も心がけましょう。
体を曲げたり、ねじったり、回したりできるのは、腰のおかげなのです。立ったり歩いたり、持ち上げたりする動作にも腰を使います。
腰は5つの椎骨(ついこつ)で構成されています。骨盤と胸部、脚が連結されています。要するに上半身と下半身をつないでいる部分が腰です。
日常生活において、腰は常に使われるのです。とうぜん、負担がかかって、そのせいで痛みを感じることが多くなるのは当たり前のことなのです。使えばすり減りますので。
腰痛の原因は、転倒などによって腰を打ったり、重い物を持ち上げたりすることで発症します。無理な体勢で物を持ち上げたり、肥満、過労、姿勢の悪さによっても起こります。
腰痛の予防や改善には、たんぱく質とカルシウムで
腰痛を緩和する栄養分として、骨を丈夫にするカルシウムや、カルシウムの吸収を助けるビタミンDがあります。これらと、体を温める効果のある根野菜や香辛料などを組み合わせて摂取することがポイントです。
筋肉や靱帯(じんたい)をつくるたんぱく質の摂取も、たいへん重要となります。骨盤の周囲には体を支えたり、動作を行うためのいろいろな筋肉があります。それが十分に発揮できよう、ちゃんとたんぱく質を摂取する必要があります。また、大豆製品や魚介類を摂取することで、カルシウムを摂ることができます。
腰痛の原因が肥満の場合は、減量以外に解消方法はありません。
さらに、腰が痛いからといって、体を全く動かさないのは逆効果になります。ストレッチや腹筋運動などは腰痛の改善には効果的です。もちろん、ムリしないで行うことが前提となります。
こんなストレッチが効果的です。
語句
椎骨……ついこつ – 脊柱(せきちゅう)を構成する個々の骨。円柱状の椎体、その背側に延びて椎孔を囲む椎弓およびこれから出ている突起から成り、軟骨(椎間板)で連結されて脊柱を作る。頸椎・胸椎・腰椎・仙椎・尾椎に分かれ、椎孔は上下に連なって長い脊柱管をなし、中に脊髄を入れる。人の場合は32~34個。
靱帯……じんたい – 骨片を相互に連結する結合組織線維。関節を強固にし、かつその運動を抑制する作用をもつ。