睡眠時無呼吸症候群「SAS」になり、猛獣になった!

sas2

スポンサーリンク

お前は獣か?

学生の頃、数人の友人とキャンプに行ったときです。朝、たたき起こされて、眠い目をこする私の目の前に、ラジカセがドンと置かれました。

「聞け」

開口一番、友人は私の頭をポンと叩き、ガチャンとスイッチを押しました。

スピーカーから、グワーッという音が聞こえます。

グオーッ! グオーッ!……。

「なにこれ、猛獣?」

「ばかやろう、お前のイビキだよ」

「ひえーッ」

はい、私はデブでした。今はスリムですよ、がんばったので。すっげ、がんばったので。

イビキはかいているのだろうな、とウスウス自覚していたのですが、その事実を突きつけられると、さすがにガクゼンとしましたね。

目の下にクマを作った不機嫌そうな友人らに、地べたに頭をこすりつけて謝りました。もちろん彼らとは今でも親友として付き合っていますよ。

治療しなくちゃ

「お前のイビキ、異常だな」

友人のその一言に不安になり、いろいろ調べてみました。

睡眠時無呼吸症候群。SAS。

このワードに注目しました。

もしかしたらと思い、呼吸器内科で診察してもらいました。

「一日泊まっていきなさい」

先生がいいました。

と、泊まる? 入院てこと? やっぱし俺、病気か……。

さぞ間抜けなツラをしていたのでしょう。

「今日じゃなくてもいいから、時間がとれるときに来なさい」先生は笑います。

そうです、ここは睡眠や呼吸のチェックが行える病院なのです。本当にお泊まりするとは思ってもいませんでした。

パジャマやタオル、歯ブラシも、ぜーんぶ支給でしたので、当日でもよかったのですが、心の準備ができていなかったので、明日にしました。気が小さいので。

睡眠中にチェックするわけですから、寝に来るだけです。入ったのは夜。

病院でお泊まりなんて初めてなので、もうドッキドキ。

大部屋に何人いるのかな、と思っていましたが、何と個室ですよ、個室! 心の中でガッツポーズを作りました。ここは全て個室なのですが。

何と、テレビも付いていて、リラックスできそう。

室内をいろいろチェックしていると、年配の怖そうな看護師さんが入ってきました。(そのときはまだ看護婦さんと呼んでいました)

早速、説明を受けます。

終わると、「さあ、寝る準備をしてください」

え、もうッスか……。

心の中で問いましたが、私は強い人の指示に従う人間ですので、シャワーを浴びて歯を磨いて、支給された忍者みたいなパジャマに着替えて、そそくさとベッドに入りました。

トイレやシャワー室で何人かと出くわしました。

検査入院の人たちです。照れくさいので無言でしたが。

皆さん、私のようにムチムチした体型の人ばかりなので、笑っちゃいましたけど。それなりに、いろいろと悩みがなるのです。しつこいですが、私は今は違いますよ。

俺はロボコップになった

ボーッとテレビを見ていると、二人の若い女性の看護師さんが入ってきました。

ストレッチャーにいろんな器具をのせていたので、緊張。二人ともすっげ美人なので、もっと緊張。

いきなり、上半身ハダカになり……いやいや私ですよ。腕やら胸にペタペタと器具を貼り付けていきました。

最後に髪の毛をロウで固めはじめます。

げッ!

カチカチに固まった頭にセンサーを取り付けていきます。

仰向けになった私の体から無数の配線が。

まるで、破壊されたロボコップ。

ギギッ、ギギッ……。

ね、寝返りできねえッ! テレビも見えねえッ! なんもできん!

じゃ、寝るか。

あきらめはいい方なので、なんだかんだで、そのまま寝入っちゃいました。

翌朝、センサーを外され、シャワー室へ。髪のロウは簡単にとれましたー!

怖めの看護師さんの説明どおり、ドーナツと牛乳が待合室に用意されていました。

いや、デブにドーナツはどうかな。でも、みなさん食ってました。私も。あはは……。

診断結果

「あなたは軽度の睡眠時無呼吸症候群です」

軽度ッスか……。ちょっとホッとしました。

「紹介するから、歯医者へいきなさい」

へ、歯医者?

強い人の指示には、なんら迷いなく従う人間なので、直ぐに紹介された歯医者さんへ行きました。

そこでマウスピースを作っていただきました。

下あごを前に突き出したままにするマウスピースです。

上下の歯型を樹脂で作ってから、一週間後。それを装着して、下あごを突き出したまま、上下の樹脂製マウスピースを接着剤でくっつけます。歯科衛生士さんはまじめな顔をしていましたが、私は自分の顔を想像して、吹き出しそうになりました。ちゃんと接着するまで、十分くらいその顔のままですから。先生や歯科衛生士さんが入れ替わり見に来ますので、真剣な顔でがんばりました。

寝るときにマウスピースを装着します。子供が嫌いな人に歯をむき出して「イー!」っとする、あの顔のまま寝るのです。一人っきりだと笑えない、むなしすぎて。

要するに、仰向けで寝ると、太った舌が気道を塞いでしまう病気なのです。マウスピースで気道を確保するのです。

重度の人は、寝るときに酸素マスクが必要になります。空気の圧力によって気道を広げます。

海外では舌の根本を縫い付けて気道を確保する手術をする人もいます。すごいッスね。でも睡眠は大事ですから。

症状

脳への酸素が不足する。動脈硬化により脳梗塞や心筋梗塞のリスクが増大。記憶力や集中力の低下。倦怠感、疲労感、体が重い。性欲の減退。←最も困る症状。なにより、極度の睡眠不足になります。普通の人よりも早く死にます。これ怖い。

思い返せば、講義や電車のなかで強烈な眠気に襲われたのは、そのせいだったのです。寝ていると、舌が気管をふさぐのが自分で分かりました。

でも、夜は眠くてしかたがないので、熟睡できているものだと思っていました。

しかし、違ったのです。

対策は簡単?

食べ過ぎ注意。

運動しましょう。

やせましょう。

それ以外にないッス。

これが結構難しい。デブには強い意志が必要です。そう、私は意志が強い。自慢で終わります。