フェーン現象
フェーンという言葉は、元はオーストラリアやスイスなどで、ヨーロッパのアルプスから、吹き下ろす、温暖で乾燥した風のことです。
今では、地域に関係なく、このような風をフェーンといい、その現象をフェーン現象と呼んでいます。
フェーン現象は、高温で乾燥した空気を、風下に送り込むので、雪が溶けて、洪水や雪崩(なだれ)、または、火事などの原因になります。
フェーン現象は、乾燥した空気と、湿気を含んだ空気が、それぞれ、高度を変えたときの、温度変化の度合いが、異なることから発生します。
たとえば、20℃の、湿気を含んだ空気があるとします。
その空気が山の斜面に沿って、高度を上げていくと、標高差100メートルにつき、温度が1℃低下します。
1000メートルでは、10℃になります。
温度が低下すると、空気中の水蒸気が、凝結し、雲ができて、雨や雪を降らせます。
そのとき、熱を発生し、気温の低下率は、100メートルにつき、およそ0.5℃に減ります。
3000メートルの山頂では、およそ0℃の、乾燥した空気になります。
そのあと、山頂を越えた空気は、山の反対側に下がります。
その空気は乾燥しているため、100メートルで1℃の割合で、温度が上昇します。
3000メートルの頂上から、平地まで降りたときには、およそ30℃の、乾燥した暖かい空気に変わっています。
日本では、台風や発達した低気圧が、日本海を進んでいるとき、太平洋側から、越後山脈や奥羽山脈などの、脊梁山脈(せきりょう)を超える場合、南寄りの、乾燥した熱風になり、日本海側に吹き抜けるのが、最も典型的なフェーン現象なのです。
関東北部に、冬に吹く、空っ風も、フェーン現象によるものです。
北西の冷たい季節風が、脊梁山脈を越えるときに、雪を降らせ、乾燥して、温度も高くなって、吹き降りてきます。
この風が、強く乾燥しているため、人から水分を奪い、冷たく感じられるのです。
脊梁山脈とは、ある地域を分断して長く連なり、主要な分水嶺となる山脈。(※コトバンクより引用)