地上と上空の風に違いがある
地上で吹く風には、地表の摩擦力と地球の自転が引き起こす、コリオリ力が作用することは、下記のサイトで解説しました。

高気圧は下流気流で発生、低気圧は上昇気流で発生する
低気圧と高気圧の違いは何だろう? 天気図に書かれた等高線をみると、同心円のように線が閉じているところがあります。 その円の中心の気圧が周囲よりも高ければ、そこが高気圧の中心で、低ければ低気圧の中心です。 高気圧では上空から...
本来であれば、等高線に直角に吹くはずの風が、北半球の場合は、等高線に対して少し右にずれて、吹くことになります。
その結果、地上の低気圧に吹き込む風は、反時計回りに吹くのに対し、高気圧から吹く風は、時計回りに吹くことになります。
では、上空、高度1000メートルを超えた自由大気層では、どのように風が吹くのでしょう。
上空の風は摩擦がないので等圧線に沿って、地上風は地表と摩擦があるので等圧線に対して斜めに吹く
地上の風と大きく事情が異なります。
地表から離れ、地表の摩擦が少なくなるに従い、風は等高線に沿って吹くようにその角度をゆるめ、摩擦のない自由大気層では等高線に平行に吹くようになります。
このとき風は気圧が低い側を左にして吹きます。これを地衡風といいます。
天気図で見るように、等高線はさまざまに湾曲していますが、その場合にも上空の風は等高線に沿って吹いています。
この場合の風には遠心力も関係しており、気圧傾度力とコリオリ力と遠心力が、つり合った状態で吹いています。この風を傾度風と呼びます。
陸半球である北半球では、上空1000メートルを超える高山や高原が多いため、上空の風は非常に複雑な吹き方をします。
特にユーラシア大陸の東の端に、日本周辺ではその複雑さは顕著です。
高気圧から吹き出される風と低気圧に吹き込む風の流れ
語句
地衡風……ちこうふう – 水平方向の圧力勾配とコリオリの力とが釣り合っている流れ。海流や大気の大循環、海洋の中規模渦、高・低気圧に伴う大気の流れはほぼ地衡流をなす。大気中の地衡流を地衡風という。地衡流(ちこうりゅう)ともいう。