天気図ってなんでしょう-2
わたしたちはあまり目にすることはないかもしれませんが、気象庁では地上天気図のほかに高層天気図というものを発表しています。地上天気図が等高線で気圧配置を表すの対し、高層天気図に描かれる曲線は等高度線です。
ラジオゾンデ【part23】などによって高層の気圧などを観測していますが、その結果、同じ気圧がどのように広がっているかがわかります。それを等圧面といいます。
気象庁では850ヘクトパスカル(hPa)、700ヘクトパスカル、500ヘクトパスカル、300ヘクトパスカルなどの等圧面の観測結果を1日2回、高層天気図として発表しています。850ヘクトパスカルとは、だいたい高度1000メートルから2000メートルの自由大気層の最下層部で、300ヘクトパスカルとは対流圏界面付近を表しています。
等圧面を等高度線で表した高層天気図は、登山などで利用する地形図に似ています。地形図では等高度によって地形の変化が表され、急な斜面では等高線の間隔が狭くなっています。
高層天気図の重要性は侮れない
それと同様に高層天気図では、等高度線が密になっているところでは、等圧面が崖のようになっており、風が強く吹いています。
中緯度地方では一般的に、偏西風によって等高度線が東西方面に向かって描かれていますが、北の冷たくて高度の低い大気が南に向かって等高度線にくさびを打ち込むような形になると、そこに気圧の谷間が生まれ、低気圧が発生します。
逆に南の温かく高度の高い大気が北に向かって入り込むようになると、そこに気圧の尾根が生まれ、高気圧が発生します。
高層天気図に描かれた変化はやがて地上の天気図に反映されていきますので、天気の変化を予想するためには、地上の天気だけではなく、高層の大気の状態を観測し、立体的に解析することが欠かせないのです。
専門家や興味を持つ関係者以外には目にすることのない高層天気図ですが、わたしたちが利用している天気予報には欠かすことのできないものなのです。
語句
尾根……山頂と山頂とをつなぐ高くそびえた部分の連なり。また、谷と谷の間につき出た山地の連なり。稜線。
