移動性高気圧とはなんでしょう
日本の気象をつくりだすものに5つの気団があります。ユーラシア大陸にあるものがシベリア気団と揚子江(長江)気団、北太平洋にあるのがオホーツク海気団、南にあるのが小笠原気団と赤道気団です。
日本の冬の特徴は気圧配置である西高東低をもたらすのは、北極地方の寒気に冷やされて乾燥したシベリア気団でしたが、3月に入ると地球の自転の影響で北極地方の日射量が増えるため、気温が上昇してシベリア気団の寒気も収まってきます。そのあと代わって登場するのが移動性高気圧です。
移動性高気圧はおもに中国大陸にある揚子江気団がもたらす高気圧です。これは上空の偏西風の状態が大きく関わっており、偏西風が収束して下降気流が発生したところにできます。そのため、偏西風とともに西から東へ移動してくるので、移動性高気圧と呼ばれています。
移動性高気圧とは春と秋に中国大陸南部からやってくる、おだやかな気候をもたらす高気圧のことです
移動性高気圧は中国大陸南部の暖かく乾燥した大気でできているので、さわやかな気候をもたらしますが、低気圧と交互に並んでいることが多いので、晴れの天気は長続きしません。
そのため、昔から春先の気候は「春に3日の晴れなし」と表現されてきました。また、春先の移動性高気圧のなかには、シベリアからの寒気に冷やされたものも発生することがあります。
そのようなときは「寒の戻り」と呼ばれる気候になり、冬の寒さがぶり返すことになります。
移動性高気圧は、北の寒気と南の暖気が入れ替わる季節に発生するものですので、春先だけではなく、秋にもやってきます。
語句
気団……温度・湿度がほぼ一様な空気のかたまり。大陸や大洋上の広い地域に空気が停滞して形成される。「シベリア─」◇気団の発達・移動などによって天気が変わる。