黄砂はどこからとんでくるのでしょうか
春になると、西からの強い風に乗って運ばれてくる黄砂。それは文字通り黄色い砂です。その発生メカニズムから春に多いものの、実は黄砂は年間を通じて発生するものであることがわかっています。
黄砂は中国大陸の奥地にあるタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原(こうどこうげん)が主な発生場所です。そこは降雨量が少なく乾燥した砂漠地帯ですので、広く砂に覆われています。
中国大陸の奥地の砂漠地帯から偏西風に巻き上げられて飛んできます
また、高度が高いので、偏西風の影響を受けやすく、強い風が吹くと簡単に砂塵が舞います。そこに上昇気流が加わると、舞い上がった砂塵は上空へ上ると同時に、偏西風に流されて東へ運ばれていきます。
黄砂の影響を最も受けるのは中国
中国では大量の黄砂によって人間や家畜に健康被害を与えたり、交通機関に障害を与えたりします。朝鮮半島や日本列島では、その量によっては洗濯物を汚したり、クルマなどの窓ガラスを汚したりします。日本の場合には九州北部などを中心とした西日本で多く観測されます。
エアロゾル
舞い上がった黄砂は粒子の大きいものから順に地上へ落下しますが、日本まで到達するほどの粒子はたいへん細かなもののため、地上に落ちずにそのまま大気中を浮遊し続けるものもたくさんあります。それがエアロゾルにもなります。
日常生活に困った影響を与える黄砂ですが、生物の育成に必要な栄養分を含んでいることも知られており、黄砂が舞い降りた農地では地味が豊かになったり、あるいは、海洋での植物プランクトンの成育にひと役買っていることも事実なのです。
語句
エアロゾル……気体中に微細な固体または液体の粒子が浮遊している分散系。噴霧器から出る霧状物や煙霧の類。煙霧質。エーロゾル。
地味……ちみ – 農産物の生産力からみた地質のよしあし。