2012年5月6日、茨城県と栃木県で複数の強力な竜巻が同時発生にし、大きな被害をもたらした
2007年に力ナダで発生した、これまでに観測されたもののなかでも最大級の竜巻でしたが、2013年にアメリカ合衆国オクラホマ州で発生したムーア竜巻も、改良藤田スケールで最高レベルのEF5に達する巨大なものでした。
アメリカで発生する竜巻が、世界でもっともひんぱんに観測されています。
アメリカ中部は、ロッキー山脈で西側をふさがれたようになっており、そこへメキシコ湾からの暖かな空気と、北からの冷たい空気とが流れ込むため、大気の状態が不安定になりやすいという特性があります。
竜巻は地上に接している面積は狭く、方向も安定しないので、その発生や進路を正確に予想することは非常に困難です。
巨大な積乱雲によって発生した上昇気流の中で発生した渦が大きく成長して竜巻になります
日本でも最近は竜巻の発生が多く観測されるようになってきました。
不安定な大気によってつくられる巨大なスーパーセル(積乱雲)は、その中に上昇気流と下降気流の2つがあるため、その勢力がなかなか衰えません。
その2つの気流は どちらも強力です。
強力な上昇気流の中では、風向きや風速が異なるいろいろな気流が流れているせいで、小さい気流の渦がたくさん発生します。
その小さな渦の中で、巨大化したものが竜巻であると考えられているのです。
積乱雲の中にできた竜巻は成長するにしたがい、雲を漏斗状に下へと伸ばしていきますが、漏斗状の先端が地上や海上に到達すると、大きな被害をもたらします。
しかし、竜巻は短時間で消滅してしまい、また、半径が数十メートルで、大きなものでも数キロメートルと小さく、その誕生から消滅までをしっかり観測して、予報することは大変に困難なことです。
半径が小さいため、被害を受ける範囲は局所的なものになりますが、中心の風速は秒速lOOメートル以上と、はるかに台風よりも強力で気圧も低くなるため、地上の建造物は破壊され空中に飛ばされてしまうなど、壊滅的な爪痕を残していきます。
改良型藤田スケール(竜巻の強さを階級で表します)
階級 | 風速(m/s) | 想定される被害 |
EFO | 29~38 | 軽微な被害。屋根がはがされたり、木の枝が折れたり、根の浅い木が倒れたりする。被害報告のないものはこの階級に区分される。 |
EFl | 39~49 | 中程度の被害。屋根はひどく飛ばされ、玄関のドアがなくなったり、窓などのガラスが割れたりする |
EF2 | 50~60 | 大きな被害。建てつけのよい家でも屋根と壁が吹き飛び、木造家屋は基礎から動き、大木でも折れたり根から倒れたりする。 |
FF3 | 61~74 | 重大な被害。建てつけのよい家も破壊され、頑丈な建物も深刻な損害をこうむる。吹き飛ばされた木々が空から降ってきたり、重い車も地面から浮いて飛んだりする。基礎の弱い建造物は飛んでいく。 |
FF4 | 75~89 | 壊滅的な被害。建てつけのよい家やすべての木造家屋は完全に破壊される。車は軽々と飛ばされる。 |
FF5 | >90 | ありえないほどの激甚な被害。強固な建造物も基礎から壊され、自動車などが100メートル以上高く飛んでいき、鉄筋コンクリート製の建造物にもひどい損害が生じ、高層建築物も構造が大きく変形するなど、信じられないような現象が発生する。 |